本日は真冬日に

 東京からのニュースは吹雪の様子を伝えていました。本日の降雪は9センチほどと
のこと、太平洋に面した北海道の当地よりも雪は多いではありませんか。こちらは
明日の午後から雪の予報となっていますが、どのくらいの降雪になるのでありましょ
う。ちなみに気象庁の情報では、本日の積雪は5センチ、最低気温12.4度、最高は
3.6度であります。もちろんどちらも氷点下で、久しぶりに真冬日を記録です。
 本日は、パン焼き作業の日でありまして、作業の合間には図書館から借りている
池内紀さんの「記憶の海辺」を読んでおりました。池内さんの「同時代史」でありま
すが、自伝的な内容とそれに関連する著作とか、翻訳であれば原著者とのことなどが
描かれています。
 たとえば1996年は、その前年に55歳で大学を退職して翻訳と著作に専念することに
なるのですが、それにあたって、さしあたり三つの予定を立てたとあります。
「 カフカの小説をひとりで全部訳す。
  北から南まで好きな山に登る。
  なるたけモノを持たない生活をする。 」
 これを説明するなかに次のようにありです。
「『モノを持たない』のは人間関係も含んでいる。そちらの過去とはスッパリ縁を切
る。職場でできたつき合いは、友人でも知人でもない。自分のひそやかなモットーに
した。つまり、仕事の終わりが縁の切れめ。」
 仕事をやめてまで、過去の仕事の人間関係にしばられたくないとは思うものの、そ
れ以外に、交友関係がないというのが、平均的な勤め人でありますね。
これはいかんでありますが、55歳で大学組織を離れた池内さんは、ずいぶんと早くに
大学を辞めたら、大学での人間関係を一度リセットしようと考えていたのですね。
 これは参考となることですが、退職直前にそのようなことをやろうとしてもできな
いでしょうから、やはりこれは仕事組織との距離の置き方を考えたほうがいいという
ことになるのかな。
 96年といえば、NHKTVの仕事でドイツへとわたってギュンター・グラスに取材をす
るのですが、このくだりを読むと、この仕事とその後で池内さんが発表する「消えた
国 追われた人々」がつながっていることがわかりました。