二日続けてびっくりであります。本日に届きました岩波「図書」12月号
を開いてみましたら、巻頭に「夕陽妄語」という文章がおかれていまして、
これの著者は、「ソーニャ・カトー」とあるではないですか。
鷲巣さんの書くもので加藤周一さんをフォローしている方は、ご存知で
ありましょうが、加藤周一さんには養女さんがいらして、その方がソーニャ
さんであります。当方がこのことをはっきりと知ったのは、鷲巣さんの著作
によってですが、これは最近の著作に、もっと詳しく書かれているはずで
あります。
それにしても、このソーニャさんの文章を読むことができるようになるとは、
思ってもみなかったことです。(ご本人はオーストリアのウィーンにお住まいで、
原文はドイツ語でしょうか。「図書」の掲載は高次裕さんの訳によります。)
この文章から、ちょっぴり引用です。
「私は1972年にオーストリア人女性とエジプト人男性の娘として、母の故郷で
あるウィーンで生まれた。生後数週間後、ウィーンにいたヒルダ及びシュウイチ・
カトー夫妻が私を養子として引き取り、私の名は加藤になった。それ以来、この
名前は私とともにあり、私を導いてきた。皮肉にも、私は日本人でもなければ、
日本に住んでいないにもかかわらず、この家系で加藤という名を継ぐ最後の者
なのだ。」
これだけ読んでも、なんだなんだこれはとなりますでしょう。どうせ、加藤が
ヒルダさんと離婚してからは疎遠になったのだろうと思うと、それがぜんぜんで
ありまして、加藤周一さんのことを、「私の父」と呼ぶ人が、本当にいたんだと
いうのにはびっくりであります。
大きな書店には、無料で配布される「図書」があるはずです。興味をもたれ
た方は、急いで本屋へといって「図書」12月号を確保しましょう。