三木ー林ー渡辺

 本日の見出しは、昨日まで3日間の「折々のことば」からであります。    

 17日が三木清、18日は林達夫、19日は渡辺一夫でありました。まるで

友達の輪のように展開するのかと思いましたら、本日はこれから離れて

横書きになっていました。

 三木清林達夫ときたら、これは鷲田さんの京都大学哲学科(とは

いっても、林達夫さんは、自分は選科だからといいそうですが。)のリレー

でありまして、そのちょっと前に掲載されていた中井正一さん(こちらは

美学ですか)からバトン受け継いだ形となっています。

 この次にバトンを受けるとすれば、誰となるのでありましょう。

 それはさて、三木清さんのことばは「哲学と人生」という著書から引か

れていました。残念ながら、三木清さんの本はほとんど持っていないこと

から、「ひとは孤独を逃れるために独居しさえする。」ということばが、どの

文章からのものであるのか調べることができません。

 それじゃ林達夫さんのはといえば、こちらは評論集「歴史の暮方」から

とありますので、これは手元に文庫がありました。

歴史の暮方 (中公文庫)

歴史の暮方 (中公文庫)

 

 「『既知』の領域が拡大するにともなって、『未知』の領域が狭まってゆく

どころか、逆にかえってそれは正比例的に拡大する。」 

 この文章を引用して鷲田さんは、コメントをつけるのですが、これは林さん

のどこにあったのだろうと文庫本を取り出してきて中を開いてみました。

 「既知」と「未知」というキーワードを探してみましたら、中公文庫では76

ページにありました。文章のタイトルは、「宗教について」であります。

鷲田さんが引いていなければ、この文章を開くこともなかったでありましょう。

 次に鷲田さんが引いている渡辺一夫さん文章です。本は「僕の手帖」と

いうものとあります。「僕の手帖」という本は持っていないなと思って、検索して

みましたら、講談社学術文庫にはいっていたのだそうです。

僕の手帖 (1977年) (講談社学術文庫)

僕の手帖 (1977年) (講談社学術文庫)

 

  元版は河出文庫とかありました。1952年が最初の版となるのであれば、

その前年あたりに書かれた文章である可能性が強いことと、渡辺一夫著作集

の「偶感集」を取り出してきて、あたってみました。

 そうしましたら、このくだりは「宛名のない手紙」という文章の冒頭部分である

ことがわかりました。

 鷲田さんが魅力的なフレーズを抜き出して紹介してくれますが、やはりもとの

テキストにあたってみたくなります。もし新聞で目にしてどこかで感じるところが

あったら、どうか原文に触れてみてほしいですね。