先日の新聞土曜版に作曲家の宮川彬良さんが登場して、スコアを書く時
にっているシャープペンシルのことを紹介していました。最近の作曲家は、
ほとんど皆がコンピュータソフトをつかってスコアを書いているとのことです
が、宮川さんは今も「ステッドラー社のMARSーMICROGRAPHF」に太さ
0.9ミリ2Bの芯を入れたものを愛用とのことです。
宮川さんは、製造中止となってから、この製品を30本ほど買って、それを
使っていたのだそうですが、いよいよそのストックも残り少なくなってきたと
ありました。あまり壊れないのだけど、よくなくすものだからとのことですが、
ほんと愛用のシャープペンシルをなくすと、しばらくはショックで立ち直れ
ないのでありますね。
当方も一時期これを使っていたことがありました。当方は筆圧が強いの
で、細いシャープの芯では、すぐに折れてしまうことから、会議などでメモを
とるときには、ノートに太い芯のシャープでなくてはだめでした。
それにしても太さ0.9の2Bというのは、ノートが真っ黒になってしまいま
すので、芯が折れないのはいいが、やはり、いま一つということで何種類もの
シャープを使ってたどりついたのが、現在も使っている次のものであります。
ぺんてるのGRAPH1000であります。これに0.7ミリのHBまたはBの芯を
いれてつかっています。とにかくがんがんと書くのに適しています。握った感じ
もとても良くて、ノートにメモを取りながら話を聞かせてもらうときには、いつも
これが活躍です。
写真に写っているシャープは、これが販売中止になったまとめて何本か購入
したうちの一本で、ほとんど未使用であります。ノートを取りながら人の話を聞く
なんてことは、もうないだろうと思っていましたが、このところまたぼちぼちと
やるようになって、やっぱり何本か確保しておいてよかったと思ったことです。
最初の宮川さんの話に戻りますと、スコアを手書きする理由です。
「僕ら作曲家は、曲を書くのではなく、聞こえてくる音を写し取る。ほとばしる
音を忘れないうちに書き写さないといけない。勢いが大切なんです。楽譜全体
の印象を譜面(ふづら)と言いますが、音符の空き加減とか密度とか、譜面が
かっこいい絵に仕上がったら、必ずいい曲になる。それには手書きでないと
無理なんです。」
「譜面がかっこいい絵」だと「いい曲」にというのが、フリーハンドで書いた
楽譜ならでは表現でありまして、こういういいまわしは職人さんのようでありま
すね。