先日の図書館では写真集を二冊借りることになりました。大判のものではなくて、
コンパクトなものですから、写真集としてはちょっと残念なサイズですが。
一冊は昨日に話題とした林忠彦さんの「時代を語る」でありますが、これは写真家
林忠彦さんの仕事を、時代と分野を通じて見通せるようにしてあります。
目次によりますと、次のようになります。
1 戦中のドキュメント
2 戦後日本の歩み
3 AMERICA 1955
4 文士の時代
5 時代の象徴
6 物語る風景
林さんがお亡くなりになったのは1990年とのことですから、もちろん写真は銀
塩アナログであります。収録されている写真は晩年のものを除くとすべて白黒となり
ます。写真の白黒って、旧字旧かなの小説を読む趣がありますね。なんかそれだけで
雰囲気が伝わってきます。
初期の作品はドキュメントでありますが、戦時下のもので、戦争を知らない世代に
も大日本国防婦人会とか大政翼賛会推進員の活動がリアルに実感することができま
す。この中にある写真など現代の東アジアのどこかの国のマスゲームにそっくりだな
と思って、かの国はいまも戦時下を生きているのだなと思いあたります。
このようなドキュメント写真は、やはりアマチュア写真家には無理でありますね。
なによりも、戦時下の時代に普通の家庭には写真機はありませんでしたし、フィルム
は高価で、家族の成長記録を残すのが精一杯でしたからね。
当方は、町に残る戦前の写真にどんなものがあるだろうかと思ったことがあります
が、町並みとか風景だけを記録として写しているものは、なかなかないのですね。
当方なんて、最近まで老母にそんなにばちばちとたくさん写真を移したらフィルム
がもったいないといわれたもので、まして今から80年近くも昔のことです。