本日はお寺へ

 お彼岸の中日でありまして、本日はお花とおはぎをもってお寺へといきました。
 暑さ寒さも彼岸までといわれるところでありますが、当地ではとっくに秋が深まっ
て来ていることでして、桜とかななかまどの木が紅葉していました。あとすこしで
暖房が必要となるかな。
 夕方からは、小島信夫さんの「女流」(集英社文庫版)を読み継いでいました。
本文は170ページに満たないものですから、あっという間に読んでも不思議でないの
ですが、けっこうかかったことです。筋を追って読むものではありませんし、後年
この作品を受けて「菅野満子の手紙」という作品が書かれ、次はそれを読んでみよう
と思っていることもあり、すこし時間をかけたものです。
 この作品が残り10ページくらいになって、次のようなくだりがでてきます。
「私は以上のような文章を書いた。思うままに私の中にとびこんでくる時間にのせて
つづったものが、果して小説かどうか分からぬ。私は満子のところから遠ざかってか
ら、自分で彼女の代わりに書くことを思いたったのだ。私が文章の中の満子とは
親しんでいた。」
 「以上のような文章」というのが、どこからどこまでをさすものであるか判然と
しないのでありますが、どうやら「女流」という小説の、150ページ目くらいまでの
ことのようです。
 そのあと164ページには、「そこで私は『女流』という私の小説をもって出かける
ことにした。」とあるのですから、これはなかなか一筋縄ではいかないことです。