「ちくま」9月号から

 昨日に届きました「ちくま」では、澤田隆治さんの文章に目がいきました。
 澤田さんというと伝説のプロデューサーでありまして、澤田さんが現役で制作にあ
たっていた時は、関西初の番組が日本中を席巻していて、大阪発ドラマの黄金時代で
ありました。
 その後、番組制作会社に移り漫才ブームを作り出したことで、有名であります。
この方が制作した番組には資料的な価値の多いものがありまして、特集番組などを
見ていましたら、東阪企画制作の番組映像を良く眼にすることです。
 今回の文章は「私説大阪テレビコメディ史 花登筺芦屋雁之助」を刊行すること
になったことによります。これの元になったのは、「ちくま」に平成19年から21年ま
で連載されていたものですが、これが、ここまで遅れたのは、「連載のつなぎ目すべ
てに手を入れたために」とあります。
 ここでちらっと触れられている、遅れた理由のもう一つは、筑摩書房での担当編集
者にかかわってのことです。
「連載中、担当の長嶋さんが浪曲に入れ込んで、浪曲三味線の稽古をしていると思っ
たら、いつのまにか浪曲師・玉川奈々福として活躍していた。私にとって浪曲は仕事
の一つだっただけに、長嶋さんがプロの浪曲師になり最終的に筑摩書房を退社すると
いう予想もしていなかった展開は大きなショックだった。筑摩書房から出版するプラ
ンは新しい担当者に引き継がれた。」
 筑摩書房の編集者 長嶋美穂子さんといえば、小沢信男さんのものも担当されてい
る方でありましたが、なぜか三味線弾きから、浪曲の演者となってしまいました。
えーっ浪曲なんてと思ったりしたのですが、彼女がNHKTVに出演して演じたのを目に
してびっくり、これがいいのですよ。
 編集者からの転身で小説家とかは、よくありますが、浪曲家というのは、他にない
でしょう。
 YouTubeには玉川奈々福さんの番組がいくつかありますので、どうぞご覧ください
です。