本日はお天気がよろしで、おひさんがでていてあたたかく感じたのでありますが、
気温はそんなにあがらず最高気温は6.5度であったとのこと。まあおひさんがでていた
ので、その間は寒くはありませんでした。
昨日から引き続きで富岡多恵子さんの短編を読んでおりました。
- 作者: 富岡多恵子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1980/09
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はまったく承知していませんでした。この作品集を購入してから「当世凡人伝」の
すぐあとくらいにでたものと知りました。収録の作品が書かれたのは1978年から80年
にかけてのものですから、当方はどのような作品を読んでいたのだろうか。
子どもが生まれたばっかりの頃で、本は買ってもあんまり読むことができていなかっ
たかな。
作者の富岡さんは40代半ば頃でありまして、充実した時代であったのでしょう。
この作品集のタイトル「芻狗(すうく)」は、ほとんど目にすることのない言葉で、
検索をかけてみましたら、「《老子》,《荘子》天運篇などに見える〈芻狗〉は快気
祈願や厄払いのために神前に供えるわら細工の犬のことで,周代から三国時代ころま
で行われたらしく,犠牲の代用品といえる。」とありました。
作品集のタイトルになっている芻狗(すうく)」は、その後講談社文芸文庫に収録
されることになりましたので、富岡さんの代表的な小説作品の一つとなるのでしょう。
- 作者: 富岡多恵子,加藤典洋
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1988/07/04
- メディア: 文庫
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して、こういう作品は男性作家んは書けないよなと思いましたです。
「栄吉がなぜわたしの誘いを受けて警戒心もなくやってきたか、よくわからなかった
が、それを考えてみようとも思わなかった。わたしはただ、知らない他人、といって
も、好感をもった知らない若い男性が、簡単に自分の中へするりと入ってくる瞬間だ
けを楽しみにしていた。・・・栄吉のようにわたしと性行為をした若い男性が、それ
をしたことによって、なんらかのいやな思い、感じの悪い思いをもつことをどこかで
期待してはいた。よくも知りもしないかなり年のいった女が誘ってきて、金もださず
恋愛でもないのに性行為をした、ということで若い男性の中に得体の知れぬ小さな
暗い空間が生じて残るのを、わたしはひそかに期待した。ところが、栄吉は、そうい
う期待にまったくこたえぬようなところがあった。それが、思いがけずわたしの自虐
的なよろこびを誘った。」
主人公は「かなり年のいった女」でありますが、同じ相手とは二度はしないという
ことで、次から次へと手当たり次第に対象を求めるのですが、好感をもってはいるも
のの恋愛感情というようなややこしいことにはならず、ひたすら「ひたすらするりと
入ってくる瞬間」を楽しみにです。
なんともはや実験的な生き方であることで、こういう主人公のなかに、自分を見出
すことはできるでしょうかな。