来年の手帳 2

 昨日に手にしていた「システム手帳新入門」という本は、2004年のものですから、
すでにデジタル化は、だいぶん進行していました。

システム手帳新入門! (岩波アクティブ新書)

システム手帳新入門! (岩波アクティブ新書)

 この本を見ますと、第一次のシステム手帳ブームは1985年からとあります。86年く
らいからはいわゆるバブル期にはいったといわれますので、システム手帳はバブル時
代を背景にして普及したことになります。当方が求めたのは1988年でしたが、この頃
から日本製のものが出揃ってきたように思います。
 それから30年ですが、この本が書かれた2004年には、かってのブームの熱気はなく、
デジタル化とどのように折り合いをつけるか、システム手帳の強みはなんであろうか
という視点から、これは書かれています。
 この本の章立てには「夢をかなえ、人生を変える手帳術」というものがありまして、
このへんが中心の一つになるようで、「システム手帳には人生の羅針盤になる力があ
る」というくだりがあります。これは「手帳を人生支援ツールとして使う考え方は
意味がある」というふうにつながっていきます。
 ここで、次のように記されています。
「終身雇用制も年功序列制も崩れつつあり、かといって成果主義が適切に導入されて
いるかどうかもわからない。受験生などよりもよほど不安な立場にほとんどの人が
置かれている今、目標を掲げてそれをめざすことは、それなしの人生よりもよほど
堅実だといえないだろうか。」
 当方は、このような観点からシステム手帳を使ったことも、使おうとしたことも
ないのでありますが、「人生支援ツール」というところには共感できます。
 この本には「個人的な情報の記録、日記のような記録はデジタルである必要はな
い。逆にデジタルだったら、それだけで漏洩の可能性が生まれる。」と記されていま
す。この時代に、「デジタルは漏洩の可能性あり」と書いているのは、さすがであり
ます。
 アナログの良さは、徹底して自分で管理できるところであると思います。
 今になって感じるのは、デジタルはどこまでもその仕組みが自分のものではなくて、
借り物であるということです。スマホにしても、パソコンにしても、OSによる管理と
クラウドによる管理が強化されて、ますますのことユーザーの自由度は少なくなって
使いにくさを感じるようになります。もちろん、これは価値あるデジタルデータが
それだけ多くなったことと、それを商売のねたにしようとする企業が増えたことに
よります。管理が強くなりますと、自分のデータであってもアクセスするのに求め
られる条件がきびしくなり、ID、パスワードでエラーしてしまうと、ひどく大変な
ことになります。
 当方が個人で保存しているデジタルデータで1番古いものは、30年近く前にワープ
ロ専用機で作成した文書ファイルで、それをリッチテキスト変換したものです。
たった30年前のファイルの保存を続けるだけでも、最初のワープロのフロッピーか
ら、コンピュータのHDDに動かして、そのHDDのデータを、その時々の保存ディスクに
コピーして現在にいたるわけですが、これがいつ読むことができなくなるかと、いつ
も思っています。
 現在のところ、保存する手段としてのデジタル化は歴史が浅すぎて、これがこの先
どのようになっていくのかは、誰にもわからないようであります。
 目先のことはデジタル、数十年先のことを見据えるとアナログということになりま
しょうか。