最近の幻戯書房の刊行本を話題にスタートしたのですが、どんどん幻戯書房の古い
本へと遡っていきます。とはいうものの、当方は幻戯書房の本はなかなか購入するこ
とができずで、刊行後数年たって、入手しやすい値段となってから、やっとこさで
確保したりしています。
昨日に幻戯書房の本でリンクをはった坪内祐三さんの「東京タワーならこう言う
ぜ」は、今年にはいってから入手であります。どうしてこれを、今頃になって購入
したのかといえば、坪内さんと編集者Mさんとのことについて書かれているのでは
ないかと思ったからであります。
つまり昨日にあげた、三冊には、すべて編集者Mさんに関わりがあるのです。
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んの名前があがるというのがならいでありまして、今年にでたちくま文庫版のあと
がき(ちくま文庫本のあとがきには、晶文社からでた単行本のときのあとがきも収録
してもらいたかったことで)にも、Mさんこと萬玉邦夫さんのことがでてくるのに、
「文庫本宝船」には、Mさんへの言及はなく、ちくま文庫版あとがきにあるMさんとの
絶交状態という記述だけが頭に残りました。
そんなわけで、「東京タワーならこう言うぜ」には、なにか具体的な記述はないだ
ろうかと確保したものです。残念ながら、あまり具体的な記述はないものの、最後に
おかれた「谷沢永一さんの思い出、そしてMさんのこと」には、谷沢さんの「完本紙
つぶて」の編集者であるMさんが登場するのですが、これは2002年の文章で、それよ
りもあとに書かれたとおぼしき文章が「四百字十一枚」に収録の「谷沢永一の『紙つ
ぶて 自作自注最終版』の刊行に寄せて」であります
初出は「谷沢永一さんの思い出、そしてMさんのこと」のほうが古いのですが、単
行本となったのは、こちらのほうが新しいせいもあって、あれっと思ったりします。
それはさて、坪内さんの幻戯書房本への後書きから引用です。
「幻戯書房はいうまでもなくあの辺見じゅんさんの作った会社だ。辺見じゅんさんは
講談社ノンフィクション賞の選考委員で私は同エッセイ集の選考委員だから、毎年、
同時に行われるその賞のパーティの選考委員控え室で挨拶を交わす。
去年(2011年)九月五日に行われたパーティの時、控え室で、辺見さんは、本の件
引き受けいただいてありがとうございます、名嘉真(担当編集者)をよろしくお願い
します、と社長として、しかも腰低く挨拶されたので、いや、こちらこそ、と私もお
礼を言った。
その直後、辺見さんは急逝された。」