本の雑誌11月号の目次を見ましたら、坪内祐三さんの読書日記の見出しに、「宇能
鴻一郎」さんの名前がありました。
- 作者: 本の雑誌編集部
- 出版社/メーカー: 本の雑誌社
- 発売日: 2016/10/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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日に東急東横店で開催の「渋谷大古本市」へと足を運んだのですが、この古本市の
キャッチコピーが、まるで宇能鴻一郎の小説からいただいたみたいではないかという
内容でありました。どんな書きっぷりであるかは、雑誌をご覧下さいですが、宇能
鴻一郎さんとは、最近めったに話題にならない作家です。
宇能鴻一郎という名前を聞いて、なつかしく思った人のほとんどは50代後半以上で
ありましょう。まして、その方が芥川賞を受けた作家であるなんて、ほとんど知っては
いないのではないかな。
とはいっても当方は、宇能さんの作品はまったく読んでいませんで、なにかのおりに
連載されていた作品の一回分を眼にしたくらいです。それでも、そうしたところで眼に
した宇能さんの文体(というか、むしろ語りかな)には特徴があって、ちょっと見た
だけで宇能さんとわかったものです。
宇能さんがどうして有名であったかというと、芥川賞を受けた作品のなかでは別格の
ようにその初版本が高額であったからであります。状態がよろしいものは、いまでも
高額でして、戦後の受賞作としては柏原兵三さんの「徳山道助の帰郷」と双璧でありま
す。
ということで、最近に手にした本で宇能さんのことを、まじめに取り上げていた本が
ありました。
- 作者: 平松洋子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2014/10/17
- メディア: 文庫
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のいたんです」というものです。この文章は、おすすめであります。平松さんの宇能
鴻一郎さんへのオマージュが伝わってきます。
これはいい文章だなと思っていたら、「本の雑誌」で平松さんは「立ち食いそば」屋
さんの訪問記を連載していて、何号か前には坪内さんと一緒に早稲田界隈のそば屋めぐ
りをしていました。このときに立ち食いそば屋さんをめぐりながら、宇能鴻一郎作品の
話題でお二人が盛りあがっていたら、とってもたのしいのに。もちろん、その時の
お二人の会話は、宇能鴻一郎さんの登場人物の口調をまねなくてはいけないですね。