月が変わりましたが、まだ雑誌特大号を手にしています。
昨日に五木寛之さんの小説をひさしぶりに読んでみようと記しましたら、本日の朝
刊に五木さんが23年ぶりに「青春の門」の連載を再開するという記事がのっていまし
た。当方が五木さんの小説を読んでいたのは、最初のころの作品のみで、途中からは
まったく手にすることもなくなっておりました。「青春の門」は映画化されたという
ことで記憶にあるもので、再開といわれても、特に感慨はありません。
本日は秋晴れの一日でありましたが、午後に「蒼ざめた馬を見よ」を「オール讀物」
増刊号で読んでおりました。1966(昭和41)年の作品ですが、共産圏に鉄のカーテン
があるといわれていた時代のものです。ソ連邦が崩壊し、権力のありようがまるで
かわってしまっていますので、そのようなソ連のことを知らない人にはぴんとこない
かもしれませんが、「蒼ざめた馬」を目にしただけで、ロシアと晶文社を思い出すの
でありますね。
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を読んでいました。今年の2月18日(なんと当方の誕生日で、安藤サクラさんもで
あります。)に亡くなった津島佑子さんの短編。1987年に発表されて、今年没後に
「ジャッカ・ドフニ」という作品が発表されましたので、三十年もたってから、
一冊になったものかと思いましたら、これは「ジャッカ・ドフニ 海の記憶の物語」
というのが正式タイトルで、1987年のものとは「ジャッカ・ドフニ」というところ
だけが重なりです。今年に単行本がでたときに知人から「ジャッカ・ドフニ」という
件名のメールを受け取ったとき、このことばはどういうことなのかと思いましたが、
実は、これは北海道にゆかりの言葉でありました。
津島さんの作中には、次のようにありです。
「夏休みに北海道を子どもたちと旅行した際に、ある個人的な博物館を訪れた。
ジャッカ・ドフニという名前の博物館だった。意味は、大切なものをしまっておく
場所だそうで、建物は畑に囲まれた空地にこぢんまりと清潔なたたずまいで建って
いたが、その入り口の前に、カウラが作られてあった。」
カウラは「樹皮で全体を蔽ったウィルタ族の夏の家」のこととあります。
津島さんは、オホーツクでウィルタ族の文化を伝える小さな博物館に出会うのです
が、その「大切なものをしまっておく場」という言葉に共感し、早世した息子さん
につながるものをジャッカ・ドフニという連作に閉じ込めたのですね。
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