「本の雑誌」9月号から

 「本の雑誌」9月号は、通して399号となります。次号は400号記念となるのだそう
ですが、ほんとよくぞ持ちこたえたことです。創刊は1976年4月とありますが、当方
が手にできるようになるまでには、ずいぶんと時間がかかった記憶があります。
とにかく、どのようにしたら本が入手できるのかもわからなかったからして。
当方にとっては、この雑誌はいまでも近所の店頭で入手することができないもので
ありまして、それは40年たってもかわっていません。
 今月の特集は「映画天国!」というものですが、この特集で眼についたのは、
高崎俊夫さんの「文学者の映画エッセイの魅力」という文章。
高崎さんはフリーの編集者ですが、「好んで手がけたものに文学者の映画エッセイ集
がある。」とあります。
 最近の文学者さんたちが、どのくらい映画エッセイを残しているのかはわかりません
が、そういえば昔の人はずいぶんと映画についての本を残していますね。この高崎さん
の文章には、花田清輝虫明亜呂無三島由紀夫中井英夫安岡章太郎さんのもの
などがあがっていました。
 ほかにもちょっと思いつくものでも山田稔さんにありますし、飯島耕一さんにもある
ことです。それだけ、映画が見られていたということでしょうね。

女と男のいる映画

女と男のいる映画

シネマのある風景

シネマのある風景

 高崎さんの文章では、次のところを見て、本をさがしに動きました。
「夭折した山川方夫のエッセイ集『目的をもたない意志』(清流出版)をつくった時も
増村保造の個性とエロティシスム』という長編評論をまず読んでほしいという思いが
あった。増村の傑作『愛は告白する』と若尾文子の妖しいまでに<むきだしにされた>
官能的な魅惑を論じて、今なおこれを超える美しいオマージュはない。」
 書店で「目的をもたない意志」(清流出版)を手にしたことがありましたが、この本
が、そのような思いで作られていたとは知りませんでした。
目的をもたない意志―山川方夫エッセイ集

目的をもたない意志―山川方夫エッセイ集

 この文章が収録されている旧版全集がありますので、さっそくこれはチェックしてみ
ることにしようと、本を探しにいったわけです。