図書館から借りた本

 昨日に図書館へといって二冊借りてきておりました。
 一冊は昨日に話題とした「書物史への扉」でありましたが、もう一冊もどういうわ
けか岩波のもので、しかも岩波らしからぬ一冊です。

上方漫才黄金時代

上方漫才黄金時代

 こういう内容の本であれば、別な版元からでてもよさそうでありますが、売れそう
にないので、岩波からとなるのでしょうか。岩波とかみすずというところが、随分と
守備範囲が広くなりまして、喜ばしいのか、それだけ業界の状況がよろしくないと
いうことでしょうか。
 著者 戸田学さんという方の名前は、当方の頭にはいっていませんでしたが、これ
までも岩波から上方落語に関する著作を数冊だしていて、上方芸能の専門家でありま
す。生まれたのは1963年ですから、当方のひとまわり下となります。なかなか微妙な
お年頃ですが、どこにも栴檀は双葉のような方がいますからして、小学生のころから
花月にかよって漫才や落語を聞いていたのではと思われることです。
 あとがきから見てみたのですが、この本のなりたちについてが書かれていました。
「本書は、平成22年1月6日〜23年12月17日に産経新聞大阪本社夕刊に99回連載された
『上方漫才 黄金時代』を元に、加筆訂正を施したものである。
 連載の編集・企画は、同社文化部で編集委員を務められた金森三夫氏による。・・
  かって私は『米朝・神岡が語る昭和上方漫才』(朝日新聞社)という書籍の企画
構成を担当したことがあった。この時代の漫才の記録が整っていないことが企画の発
端となり、博覧強記の桂米朝_上岡龍太郎両氏の上方漫才に関する記憶をまとめよう
と考えたのである。
 今回は、実際に高座にかけられた名漫才師たちの漫才そのものをもとに、その芸を
リアルに描きだし、書籍にまとめたいと思った。そのためには、『近代漫才の父』で
ある漫才作者・秋田實の足跡と、軌を一にして描いてゆくべきだと考えた。」
 この本の元になった連載が産経新聞であったとは、いまは退職されたのでしょうが、
金森さんという編集委員がおられたことで実現した本ともいえそうです。これが朝日
新聞社から単行本となったら、なかなかの快挙と思われますが、問題は初出の媒体で
はなくて、その内容であるようです。