「海鳴り」27号 2

 昨日に続いて「海鳴り」27号から話題をいただきです。
 これに掲載となる松田伊三郎さんの「夜がらす忌雑談録」を読んでおりました。
「夜がらす忌」とは、川崎彰彦さんを追悼する集まりです。今年にあった「第五回
夜がらす忌(2015年4月11日、於 大和郡山)」で話の口切り役を引き受けたことに
よる顛末であります。
 これを読んでみたら、目からうろこでありました。あわてて本をさがすことに
なったのでした。
 本を探したのは、「話の口切り役」を引き受けられた松田さんも同じであったと
あります。松田さんは、川崎さんの第一創作集「まるい世界」とその次の「わが
風土抄」あたりを読み返して、話の口切りをしようとして、この二冊を探すわけで
す。
 松田さんは、次のように書いています。
「まず本を探す。七〇年四月刊の構造社の『まるい世界』を探すが、九一年のファラ
オ企画版「まるい世界」のほうが先にでてきたので、今回はそちらで読んだ。」
 これだけなら「目からうろこ」ではありません。目うろこは、次のくだり。
「この新版のあとがきで、著者は『導きの星のような存在』と思っていたと、花田
清輝と林達夫の名をあげている。二人のことは、文学学校で話を聞いているときに
も、何度もでてきたことなので、私なども二人の著作集を買って、本棚の一角に並べ
てみたものの、てんで読めなかったのだ。」
 花田清輝さんというのには、驚きませんでしたが、林達夫さんというのにはびっく
りしました。
 川崎さんは文学学校で話をするときには、林達夫さんの名を何度もあげていたと
いうのですから、これまで発表した文章にもそのことがでているのかもしれません
が、当方はファラオ企画版「まるい世界」を手にしながらも、本文のみならず、
川崎さんのあとがきも読んでおりませんでした。これは、まったくの不覚。
 今回ファラオ版を手にしてみましたら、川崎さんのあとがきに林達夫さんの名前
があり、解説は小沢信男さんとなっていました。

まるい世界 (原点叢書)

まるい世界 (原点叢書)

 それにしても、いつ購入したのかも忘れてしまっておりますが、この「海鳴り」の
文章を目にしなければ、このタイミングで手にすることはなかったでしょう。
ありがとう「海鳴り」です。