福岡つながりで

 亡くなった今福将雄さんのことを記していましたら、先月に福岡の書店で購入した
「運動族 花田清輝」(2014 福岡市文学館企画展資料集)のことを思い浮かべまし
た。花田清輝さんも福岡のお生まれであったというだけの話でありまして、お二人に
なんの関係もありません。

 文学館の企画展で「花田清輝」さんのものをするいうと、どういう切り口がいいの
かなと思ったりしますが、それは出身地のことで、ずばり「運動族」という直球での
勝負です。取り上げられるご本人が剛球ではあるが、直球の人ではないように思われ
るので、「運動族」という言葉にとまどいも感じつつ、これのなかをのぞいています。
 「運動族」という言葉は、花田さんと武井昭夫さんお対談集のタイトルにつかわれ
ている言葉で、「アヴァンギャルド芸術の方は、・・・アマチュアの文壇人みたいな
もんだと思う。どちらもパーティ族だ。ぼくはそれに対立するものとして運動族みた
いなものを考える。・・・君にしろぼくにしろ、運動族ということだね。」というの
を受けてのものです。
 この特集は、武井さんを中心とする運動集団のメンバーがかかわってできている
ようで、いまどきの文学館企画展としては、ずいぶんと旗幟鮮明となっています。
それはそれではっきりと立場を打ち出していて、けっこうなことですが、この展示に
ついての反響はどうであったのでしょう。
 それを抜きにしても、大規模な回顧展であったようで、展示資料が充実していた
ようなのはこの資料集をななめよみしただけでも伺うことができます。
それにしても、この資料集の最後のほうに全集が取り上げられ、久保覚さんの仕事と
いう一ページがさかれているのには驚きました。