早足で諫早散歩 6

 諫早に一度いってみたいと思うようになったのは、市川森一さんの作品をみての
ことであったかもしれません。当方がこのブログをはじめた頃に「諫早つながり」と
いうことで、そのことを記しておりました。
 http://d.hatena.ne.jp/vzf12576/20070217
 これを記してから8年が経過して、野呂邦暢さんについてはみすず書房からエッセイ
集二巻と文遊社から小説作品集がでるということで、ファンにとってはうれしい限り
のこととなっています。まさかこのようなことになるとはです。
 それとくらべて残念なのは、市川森一さんが2011年にお亡くなりになったことです
ね。すっかり大御所となられて、その昔ほど作品に胸ときめくことはなくなっていた
のですが、なんといっても当方にとってはひいきの脚本家でありましたからね。
昔から脚本の出版は難しいといわれていまして、当時は脚本で本となっていたのは、
倉本聰山田太一くらい(向田邦子さんはどうでしたろうか)でありました。
市川さんは、それについで脚本が出版された人というのが、当方の認識であります。
倉本、山田というご両人がどちらかというと、シリアス派であるとしたら、市川さん
は仕掛けの人でありまして、その代表作は断然「さびしいのはお前だけじゃない」で
あります。
 諫早を舞台にした「親戚たち」とか長崎を舞台にしたものもありますが、市川さん
はもともとつくりものの世界の人でありますから、作品であまり故郷を強調すること
はありませんでした。
 今となっては、その晩年に故郷への恩返しをたくさんなさって、死後はその蔵書や
資料が諫早市図書館におさまったということで、これはとてもありがたいことであり
ます。このコーナーだけは開架となっていないので、ことわりをいれて見せてもらわ
なくてはいけなく、時間もなかったので、残念ながら通過するしかありませんでした。
 この旅行中に思いがけず市川森一さんの文章を目にすることができましたが、それ
は、長崎ではいったトルコライスの有名店「ツル茶ん」のメニュー裏のものでした。
この店のことを記した市川さんの文章が掲載されているのですが、市川さんは長崎県
の有名人でありました。