隔世の感あり

 本日の朝日新聞朝刊「ひと」欄には、作家 金石範さんがとりあげられていました。
 この欄の金石範さんの紹介には「第一回済州4・3平和賞を受賞した在日朝鮮人
作家」とあります。
 昨日は4月3日でありましたので、済州島であった4・3事件に関しての記事となった
と思われますが、本日の朝日夕刊には、「済州島『4・3事件』67年追悼式」という
見出しで、この事件の概要から式典の様子が紹介されていました。
 それにしても、この40年ほどで、この事件のことが知られるようになったことです。
この事件が知られるようになったというよりも、韓国という国の民主化がずいぶんと
すすんだということに驚きであります。
 当方が学生であったころまでは、韓国といえば軍事政権で、日本から韓国に留学し
た同級生が韓国でスパイ容疑で逮捕されて、数年にわたって拘束されていましたし、
70年代の韓国では、こうした話は珍しくもありませんでした。
 軍事政権のもとで4・3事件に光があたるはずもなしで、多くの人が犠牲になった
というのに、この事件のことはほとんど知られていませんでした。(すくなくとも、
当方は知りませんでした。)
 本日の夕刊には、この事件のことを次のように紹介しています。
「韓国・済州島で1948年に起きた軍や警察による住民虐殺『4・3事件』から67年と
なる3日、島の中部にある平和公園で犠牲者らを追悼する式典が開かれた。遺族のほか、
李完九首相や与野党の代表ら約1万人が参列し悼んだが、遺族の心の傷はなお深い。
 日本の植民地支配から解放され、米軍政下にあった48年4月、朝鮮半島南部だけでの
総選挙に反対する左翼勢力が武装蜂起、その鎮圧を名目に無関係の住民が軍や警察に
捕らえられ、厳しい拷問を受けたり、処刑されたりした。犠牲者は確認されているだけ
で1万4千人を超える。」
 この事件について当方が知るようになったのは、金石範さんの小説「火山島」を手に
してのことですが、最近話題とした金時鐘さんの「朝鮮と日本に生きる」での大きく
取り上げられていました。
 金時鐘さんによりますと、この事件について、次のような本がでているとありました。

済州島四・三事件―「島(タムナ)のくに」の死と再生の物語

済州島四・三事件―「島(タムナ)のくに」の死と再生の物語

 これを検索しましたら、近刊でつぎのものもでるようです。