没後50年

 先日に山川方夫さんが、今年は没後50年と話題にしました。1965年に亡くなっている
のですが、亡くなって50年が経過すると著作権が消えるので、没後50年というのは、
その作品に再度光があたることになるようです。
 今年に刊行されるという谷崎潤一郎全集も、没後50年を区切りとしてのもののようで
す。小説よりも小説らしい谷崎の書簡が公開されたのも、関係する人たちがみな亡く
なってしまったことにもよるでしょう。
 封印されていたいろいろなことが、亡くなって50年をたった時点で公開されるという
のは、研究者にとっては楽しみで、よろしいことでありますね。
 昨日の新聞には、サマセット・モームの没後50年とありました。モームと谷崎は
同年に亡くなったのですね。
 モームについての文章は、行方昭夫さんによるものですが、そのなかに、次のくだり
がありです。
「昔日の人気を知らない方のために、第二次大戦後から59年の日本訪問までの熱狂的な
もて方を振り返ってみよう。新潮社から英米作家には珍しく全集が出、世界文学全集で
は大作家扱いされ、主要作品が全ての文庫に入った。入試に毎年出題され、英語の
テキストとしてもてはやされた。来日時には彼を一目見ようと群がったファンの整理に
警官が駆り出された。」 
 1965年といえば、当方はまだ中学生でありましたので、モームのことは知らずであり
ました。モームのことは、高校生になってから、大学入試の傾向と対策かなにかで、
読むようになったようです。数年前に岩波文庫で「サミングアップ」を読んだときには、
その昔に、まるで面白くもなく、この文章を読まされたことを思いだしたことです。
 1965年に亡くなった方をリストにされているページがありまして、そこから文学関係
の方や、拙ブログに登場の方を抜き出してみました。

1965/01/04 T. S. エリオット (Thomas Stearns Eliot) 【詩人】 〔イギリス〕
1965/01/12 大坪 砂男 (おおつぼ・すなお) 【作家】 〔東京都〕
1965/01/13 畔柳 二美 (くろやなぎ・ふみ) 【作家】 〔北海道〕
1965/01/24 ウィンストン=チャーチル (Winston Churchill) 【政治家】 〔イギリス〕
1965/02/20 山川 方夫 (やまかわ・まさお) 【作家】 〔東京都〕
1965/05/03 中 勘助 (なか・かんすけ) 【作家、詩人】 〔東京都〕
1965/06/05 エリナー=ファージョン (Eleanor Farjeon) 【児童文学作家】 〔イギリス〕
1965/07/19 梅崎 春生 (うめざき・はるお) 【作家】 〔福岡県〕
1965/07/28 江戸川 乱歩 (えどがわ・らんぽ) 【推理小説作家】 〔三重県
1965/07/30 谷崎 潤一郎 (たにざき・じゅんいちろう) 【作家】 〔東京都〕
1965/08/01 信時 潔 (のぶとき・きよし) 【作曲家】 〔大阪府
1965/08/17 高見 順 (たかみ・じゅん) 【作家、詩人】 〔福井県
1965/08/21 浮谷 東次郎 (うきや・とうじろう) 【レーシングドライバー】 〔千葉県〕
1965/09/04 アルベルト=シュバイツァー (Albert Schweitzer) 【医師】 〔フランス〕
1965/12/16 サマセット=モーム (William Somerset Maugham) 【作家】 〔イギリス〕
1965/12/29 山田 耕筰 (やまだ・こうさく) 【作曲家】 〔東京都〕
1965/12/29 米川 正夫 (よねかわ・まさお) 【ロシア文学者】 〔岡山県
 江戸川乱歩と谷崎がほぼ同じ時期に亡くなったことに驚きました。