文士の時代かな 2

「文士の時代」に収録されている作家さんで、現存の方は大江健三郎石原慎太郎
五木寛之野坂昭如瀬戸内寂聴という方々であります。最年少は大江健三郎さん
昭和10年生まれで、石原、五木が同年生まれとは知りませんでした。野坂は昭和
五年、瀬戸内さんは大正のお生まれでした。
 このなかで一番文士らしいというのは、野坂昭如さんであるのかもしれません。
雰囲気がでありますが、着物が似合うというよりも、破滅型のような感じがあるか
らでしょうか。
 文士という古めかしい言い方が似合う作家というと誰でしょうね。いまどきの
作家さんで着物が似合うというと、思い浮かぶ人はいるのですが。
 それにしても、ここでとりあげられている文士たちが亡くなった年齢をみて驚く
ことであります。
 林忠彦さんも、次のように書いています。
「撮った頃は、こちらもまだ青年だったせいもあって、大変なお年の人だなあと
思っていましたが、今になると、こちらの方がとっくに久米先生らの亡くなった
年齢を通り越していて、昔は若いうちからずいぶんと偉い人がいたんだなあと、
今さらのように思い出します。」
 これは久米正雄さんにつけられた文章の部分です。久米正雄さんの名前は承知して
おりますが、作品を読んだことはありません。写真の顔を見ても、久米さんであると
はわかりませんでした。しかし、この写真をみますと、この方が還暦で亡くなった
人には見えないことで、今の感覚では七十代半ばくらいの人に見えることです。