時代の変わり目

 最近のメディアでは佐世保で起こった事件のことを取り上げています。佐世保の県立
高校とあって、そこは村上龍とか佐藤正午の卒業した学校であるとのことです。
佐世保というと基地の街で、当方の世代には米国海軍のエンタープライズ入港をめぐる
反対闘争の舞台になったことが思いだされます。1968年1月のことになりますから、
すでに半世紀近くも前のことになります。ちょうどベトナム戦争が行われているときで
ありまして、日本のあちこちに、米軍の基地がありました。
 68年から72年くらいを時代の変わり目という人がいますが、ちょうど当方が学生の
ころのことです。
 「時代の変わり目」という言葉がでている文章を、ちくま8月号でみました。筆者は
橋本治さんです。
(ちなみに橋本さんが最初に話題となったのは、東大駒場祭のポスターによってですが、
これは1968年のものでありました。)
「1982年生まれの男達の中には、『自分と同世代である酒鬼薔薇聖斗』に敏感で、その
彼が自分の中に潜む『暗いなにか』を刺激する負のヒーローのように思えてしまう人達
も多いらしい。そんな話を聞いて、私は2000年に起こった『少年達の犯罪』を思いだ
す。
 その年に十七歳になる酒鬼薔薇聖斗と同年の少年の一人は、『人を殺してみたかった』
という理由で近所の主婦を殺す。それが愛知県で、続いては佐賀県に住む少年がバス
ジャックで人を殺し、岡山県の少年は部活の後輩を金属バットで殴り、自分の母親を
撲殺して逃亡する。たった二ヶ月の間に三件の事件がたて続けに起こって、そのために
酒鬼薔薇聖斗の影』も当時は囁かれたりはしたけれど、この年に多かった少年事件の
すべてが『十七歳の少年』によるものではなかったし、この年に起こったいやな事件の
犯人が『少年』だけだったわけでもない。・・・同世代はあるかもしれないが、厄介な
事件を惹き起こす因子は、それよりも『時代の変わり目』なのではないだろうか。」
 厄介な事件というのは、連鎖する可能性があるとすれば、マスコミも節度をもって
報道する必要がありでしょう。
 どういうわけか我々は、うらやましい生活をしている人達が奈落に落ちて行くのを
拍手をしながら見送るという癖があるようです。