新潮「波」6月号

 「波」六月号の表紙を、作家 辻村深月さんの自筆のことばが飾っています。
表紙には書斎の写真が使われているのですが、この書架がうつっている書斎はどなたの
ものでありましょうと思いましたら、これも辻村さんのものであるとありました。
 「波」編集室だよりには、「(新刊『盲目的な恋と友情』という)衝撃作を生み出し
たご自宅の書斎を辻村さんご自身が撮影し、『自然と増えてしまった大好きなドラえも
んのフィギュアに囲まれつつ、黒い話も白い話も、この場所で書いています。』という
メッセージもあわせて送っていただきました。」とありました。
 「先生の書棚」を見るのは好きでありまして、どのような本がならんでいるのかと本の
背表紙を確認しようとするのですが、見事に白っぽい本ばかり、しかもコミックが写って
いて、こういうところから作品は生まれるのかと思いました。それにしても、当方が
手にしたことのあるようなものはほとんどなくて、こういう時代なのでありますね。
「波」の表紙を飾っている筆跡は、4月 阿川佐和子さん、5月 曾野綾子さんであり
まして、なんとなく女性重視であるように感じます。
 そういえば6月号の目次を見ても、連載ものの半数以上が女性の手によるもののと
なっています。「波」には楽しみな連載が始まっています。その一つは、末森千枝子
さんの「父と母の娘」であります。