追悼 松山俊太郎さん 7

 松山俊太郎さんは、専門分野での著作は、かろうじて数冊を数えますが、みずからが
ライフワークと思っていたものについては、結局、刊行するにいたらなかったようで
あります。
 60年代後半くらいからあちらこちらで松山さんの名前をみかけて、文章を眼にする
ことがあったようでありますが、ほとんど記憶に残るか残らないかでありまして、
今回お亡くなりになったことで、「綺想礼讃」を開いて、その付録の栞などを読んだ
ことで、ここにも、あすこにも松山さんの姿がと、今頃になって気がついた次第です、
 その一つが、社会思想社現代教養文庫に収録の「小栗虫太郎傑作選」全五巻であり
ます。
 当方は、このシリーズ全五冊のうち、「黒死館殺人事件」をのぞく、残りの四冊を
購入しておりました。このシリーズでは、編者 松山俊太郎とありますので、全巻に
解題を寄せているほか、三巻と四巻には解説を書いていて、この両巻の解説と五巻の
解題が「綺想礼讃」に収録されています。(「黒死館殺人事件」を購入していないの
は、ハヤカワからポケミスサイズででていたものを購入していたからと思います。)
 社会思想社の現代教養文庫の「異端作家三人傑作選」というシリーズでありまして、
小栗虫太郎のほかは、夢野久作久生十蘭となり、各人五冊ずつです。
 昨日に引用しましたが、この小栗虫太郎選集全五巻に於ける松山さんの「本文校定は
労作を超え、偏執の域にまで達した」ということで、各校本における異同がことこまか
に記されています。