最近入手した本 2

 最近買った本で大きなセットものがあったことを忘れていました。
昨日に「購入数も過去最低に近いこと」と記しましたが、この大物が加わりますと、
一気に数字は増えるのでありました。

 谷崎潤一郎全集 新書判 中央公論社です。
 この写真にありますのは、全体の半分ほどとなります。やはり谷崎のものは気に
なります。どうせであれば旧字、旧かなによる版本をと思うのですが、大きな全集本
は場所をとりますし、ねころんで読むにはちと重くて簡単に読めそうにありません。
それでいきますと、新書判全集は全三十巻でこの写真のとおり、小さな段ボール箱
おさまってしまいますし、新書サイズでありますので手になじみ、ねころんで読むに
もむいています。難をいえば、字が小さなことですが、これはめがねを外したり、
本を遠ざけたり、近づけたりすれば、なんとかしのげます。
 このセットものは、最近に販売されている文庫ものとくらべると格段に安くて、
セットで送料込み3千円というお値段でありました。
 昨年の大阪天神さんの古本市で、この新書判全集が一冊百円という価格でならんで
いたのを見つけ、そのなかから「細雪」が収録された巻を購入したのであります。
この新書判全集で初めて「細雪」を読了することができて、あのときにもうすこし
他の巻も購入するのであったと残念に思っておりました。
  購入したら安心してしまって手にすることもなくなってしまうのでありますが、
本日、これを話題とするために手にしましたら、次のような文章が目につきました。
「近頃では何から何まで人の手を借りず、細かいこと迄注意を配って、自分で一冊の
書物を作りあげるのが此の上もなく楽しみである。・・・
 装釘といふものは、なるべく余計な線や色彩を施さず、クロースなり布なり紙なり
の持つそれ自身の地質と色合とを取り合わせて、内容にぴったりとするやうな一つの
調和を作りだすのが理想ではあるまいか。」(「装釘漫談」より)
 谷崎は本作りにこだわりがあって自分の本の装釘を考えるのが楽しみであったとあ
ります。本は菊判に限るでありまして、四六判では装釘のイメージがわかないとまで
いっています。いまの時代に菊判の単行本なんてあるのでしょうか。