本日も気温が上がらず、終日雨となりました。これを記している時間はストーブを
つけて暖をとっています。いつまでたっても寒いことです。本日は雪となって除雪し
たなんてニュースがありましたが、こちらはそれほどではありませんが、気分は冬の
終わり頃です。
本日に予定していた花苗とバラ苗の植え付けは中止となりました。次の仕事休みの
時がお天気となることを期待いたしましょう。
雨のために終日、自宅にいて片付けでもしていれば立派でありますが、なにか面白い
ものにあたらないかと、近くにある本をつまみ読みをしていました。見慣れない書店
カバーをかけている文庫本があって、これはなにかと思って手にしましたら、これが
次のものでした。
わが井伏鱒二 わが横浜―現代日本のエッセイ (講談社文芸文庫)
- 作者: 寺田透
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1995/07
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (1件) を見る
晶文社をおこした中村勝哉、小野二郎というお二人にとってのアイドルでありました。
2009年9月に拙ブログで「晶文社」を話題としたときにも言及しましたし、その後に
「SUMUS」13号に寄稿させていただいたときも、それを話題としました。
寺田透さんのこの文芸文庫を購入したのは、その年譜に当方にとって注目の記述が
あるからですが、いつかこのことについて確認をしてみたいものと思いながら、時間
が過ぎ、これも難しくなっています。
この文芸文庫に井伏鱒二と横浜ものというのが、不思議な組み合わせであります。
ほんとにたくさんの著述のあるものなかから一冊の文庫本を編むのに、この組み合わ
せというところに編集の妙です。
寺田さんのあとがきには、次のようにありです。
「この文庫本は、僕が希望するよりさきに、講談社文芸文庫の、部長というのか、
橋中雄二君の発議によって実現したものである。・・文庫本を出すことになんとなく
気乗り薄の僕も、ここ数年、自分のものではないが、中野重治や幸田露伴の文庫本作
品集に、解説や註を書くしごとをしつけて来たため、のみならずそう申し出てくれた
のが旧知橋中君だったことが最も物を言って、いやもおうもなく同意してしまった。
おまけに、僕の『わが横浜』と、なつかしい井伏鱒二に関する論稿を一冊に編みた
いというのがかれの意向だと聞かされたことが、一層僕の気持ちに弾みをつけた。」
この二つを組み合わせたのは、編集者でありますが、これはどうしてかというが
このあとに書かれています。
「自分自身自覚しているひとっところに長年居住する人間としての井伏氏と僕という、
他の誰も認めていないつながりを、橋中君が探り当ててくれたことの証左と受け取れ
る話なのが、もっと僕を喜ばせたのである。」
すこし読みにくい文章というのが寺田節でありまして、若き日の小野二郎さんは、
この文体をまねたといわれますが、最近はわかりにくいといって読まれていないの
でありましょう。