あれもこれも

 あれもこれもというのは、当方がその昔に購入した比較的高価なものについてのこと
であります。いまはネットで商品の検索をして、それについての評判等を確認してから
購入をしたりしているのですが、いまから40年近く前に、そのような仕組みはあるわけ
もなしで、商品テストを掲載している「暮らしの手帖」がおおいに参考となりました。
 当方が購入したカメラ(ヤシカエレクトロ35)や、モンブランの万年筆320は、
「暮らしの手帖」商品レポートを参考にして購入したものでありました。
「暮らしの手帖」は商品レポートを売りにしていましたが、いつからかその路線を
離れてしまっていました。商品レポートのためには、ものすごい時間と費用がかかって
いたと聞きましたので、一般の雑誌では荷が重くなっていたのでありましょう。
 あとは、物があふれるようになって悪貨が良貨を駆逐するような状況のなか、商品
レポートで優劣をつけたとしても、消費志向がそのようには動かないことや、時間を
かけた商品レポートが雑誌の販売にはつながらなかったからでしょう。
 一般の商品広告をまったく受け付けないということで「暮らしの手帖」は、雑誌業界
に独自の位置をしめておりました。それを創ったのは花森安治さんでありまして、この
方については多くの著作が発表されています。
 代表的な二冊といえば、次のものでしょうか。

花森安治の仕事

花森安治の仕事

花森安治の編集室

花森安治の編集室

 これに加えてでありますが、津野海太郎さんも書いておられます。
本の雑誌」2月号に掲載の津野さんの近況のところに次のようにありました。
「『考える人』での花森安治の連載がおわり大幅加筆の日々がつづく。戦後の逆コース
憲法九条破棄への流れ)がノンポリの花森を『一銭五厘の旗』のモーレツな反戦人に
変えた。いまの情勢を知ったら、あの編集怪人ははたしてどんな手をうつか。」
 しかし花森安治さん一人の力で、「暮らしの手帖」が成り立っていたわけではありま
せん。