休みの日は小説を 7

 先週から丸谷才一さんの小説「今は何時ですか?」を話題にしていたのですが、
この作品の中に支笏湖の風景と土地の名物が登場することから、この作品は当方に
とって格別の意味合いをもつ作品となりました。(いまほど、これについてぐだぐだ
と記していたのですが、保存するのを忘れてページ移動してしまい、記していたのが
とんでしまいました。年に数回、このようなことがあります。まったくそのときの
勢いで記していたりしますので、何を記したのかおぼえていなかったりします。
まったくとほほなことです。)
 昨日に引用しましたが、作中作の主人公が、支笏湖のホテルでジンギスカン料理
(作者はジンギスカンに料理とつけていますが、あれを料理という習慣は当方には
ありません。)ではなく、「姫鱒定食」としたというのが当方を喜ばせました。
せっかく支笏湖にきたのだもの、どこでも食することのできるジンギスカンではなく
姫鱒料理(これは料理というのが正しいでしょう。)としたのがうれしいことです。
姫鱒料理を食した感想があれば、もっとよろしいのですが。
 いまほど姫鱒定食ということで検索をかけましたが、ここでは支笏湖の影は薄しで
あります。支笏湖には十和田から姫鱒はもってこられたようですが、支笏湖では
アイヌ語で、この魚のことをチップとよんでおりましたので、チップ定食として
検索したほうが、支笏湖話題に近づくことができそうです。
 ほとんど川魚を食することのない当方は、このチップだけ別でありまして、抵抗
なく食することができます。これはかって支笏湖に住んでいたとき(今から50年ほ
ども昔のこと。)になじんだ味だからでしょうか。
 お刺身、塩焼き、フライと、どれにしてもおいしい魚ですが、作中の主人公は
姫鱒定食でどのようにして食したのでありましょう。
 作中作は、この支笏湖のシーンからまもなくおわりのエピソードにつながって
いきます。この終わりのところには、「今は何時ですか?」=「時間とはなんで
すか。」をとく鍵がかくされているようですが、ここのところは、姫鱒定食のとこ
ろよりもわかりにくしです。
 小説を読む楽しさというのは、本筋とはまるで無関係な、このような細部への
共感であってもよろしいでしょう。
 この作品は、いくつもの小話がちりばめられていて、これをどのように組たてて
一つのお話とするのかとクビをかしげながら、何度か読んでおります。何度読んで
も不思議な話なのですが、支笏湖の風景がでてくるだけで、当方にとって特別な
丸谷作品となっています。
 この作品が、もっと容易に読むことができるようになればいいのにです。