田邊園子さんの本を手にしていましたら、女性の編集者のことを話題にしようと思い
ました。女性の編集者といってもいろんな分野の方がいて、たとえば「婦人之友」とか
「暮しの手帖」でありましたら、ほとんど女性が作っておられるでしょう。
ここでは文芸ジャンルの編集者としましょう。最近の状況には明るくありませんので、
どうしても古い時代の人となってしまいます。
最近にTVで再放送がありました「火の魚」というドラマは、朝の「カーネーション」
というドラマで一躍有名になった「尾野真千子」さんと、今は亡き「原田芳雄」さんに
よる痛切な物語ですが、これの原作は室生犀星となります。原田さんが演じた老作家が
室生犀星としますと、尾野さんが演じたのは栃折久美子さんとなります。
栃折さんは、今では装丁家として著名でありますが、元は筑摩書房の編集者でありました。
このドラマについては、次のものがありました。
http://blog.livedoor.jp/oph_oph/archives/1114872.html
他の会社と比べると、筑摩書房から文筆家になった女性編集者は多いのかもしれません。
筑摩書房からでた「筑摩書房の三十年」の元版は、巻末には「社員一覧表」というのが
掲載されていて、これを見ますとどのような編集者がいたかもわかるのでした。
この本は1970年に刊行ですから、ここには67年に退職した栃折さんの名前はありません
でした。
男性では、その後に名前を知られる編集者がたくさんいるのですが、女性で名前を
記憶しているのは、中島かほるさんとか金井ゆり子くらいでしょうか。
ここにはありませんが、作家となった竹西寛子さんも筑摩書房の出身でした。
ほかの出版社とくらべると筑摩書房は女性の編集者が活躍できる会社であったので
しょうか。上司に坂本一亀さんのような人がいなかったからでありましょう。