「みすず読書アンケート」を見て、目に付いたところなどを紹介しています。かって
は自分も購入したり、読んだものが何冊かあったりしたのですが、最近は淋しいくらい
に少なくなっています。
そんななかで、次のようなものを見ますと、「淋しいのは自分だけではない」という
気分になるのでありました。
ちなみに、次のように記していますのは建築史家の鈴木博之さんであります。
「毎年、五冊選ぼうとするが、最近もっとも熱心に読むのは本ではなく、ブログかも
しれないと思うようになった。石山修武の『世田谷日記』や難波和彦の『神宮前日記』
など、数種のブログを愛読しているが、石山のものなどは、荷風の『断腸亭日乗』にも
匹敵するような名作ではないかと思ったりする。」
石山修武さんというと、晶文社から「秋葉原感覚で住宅を考える」とか「笑う住宅」
という著作を出していて、晶文社の建築路線の中心的な著述家でありました。
そのころは、まだ大学では教えていなかったように思いますが、生きの良い若手という
感じでありました。
ちょうど手近に「職人共和国だより」がありました。
- 作者: 石山修武
- 出版社/メーカー: 晶文社
- 発売日: 1986/08
- メディア: 単行本
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この本の表紙カバーには次のような石山さんの文章が掲載されています。
「 富士山の見える西伊豆の小さな町に、全国から十数名の左官の名人が集まった。
美術館が建ち、橋が架け替えられ、町並みがととのえられた。野外劇場がつくられ、
空中庭園ができ、いまバルセロナから来た石彫り職人の手で塔が建てられる・・。
どこにでもあるような町が、どこにもない町に変わっていった。いったい、この町
には何が起きたのだろう?
本当は、この本を片手に松崎を訪ねてもらうのが一番だ。本に書かれていることは
全部松崎町にある。」
このように書いた石山さんが、大学教授となって、綴っているのが「世田谷村日記」
でありました。最近は、すっかり石山さんの著作に縁遠くなっていましたが、鈴木さん
の紹介を受けて、このブログを見てみるようにいたしましょう。
http://ishiyama.arch.waseda.ac.jp/www/jp/top.html