本日より師走

 月が改まって出版各社のPR誌が届いています。最近購読しているのは、「図書」と
「ちくま」「波」「一冊の本」であります。文藝春秋社からでていた「本の話」も購読
しておりましたが、あまりに面白くなくなって、そろそろやめようかと思っていたら、
会社のほうで休刊を決定して、定期購読をしていた当方には、文藝春秋社から菊池寛
顔写真いり図書券が、返金にかえてとおくられてきました。「本の話」も、創刊のころ
は面白かったのにです。
 さて、出版社のPR誌12月号で眼についたのは「図書」に掲載の細見和之さんの「私の
留学体験記」であります。最初に目次をみたときには、どこかの学者さんの外国での
体験記であろうと思っていたのですが、本文のページを開いてみましたら、そこには
大阪文学学校とふたりの師」とあるではないですか。まさにびっくりであります。
学者さんと大阪文学学校と留学とは、なんぞやでありますか。
 川崎彰彦さんの関連で「大阪文学学校」に関心をもっている当方には、とても新鮮な
切り口の文章でありました。川崎さんや「大阪文学学校」に関心のあるかたは、ぜひに
「図書」12月号を、大きな書店で手にしてこの文章をご覧くださいです。
 細見さんは大学では哲学(社会思想)を教えているのですが、それと並行して詩人と
しても活動をされている方だそうです。
 大学の時から同人誌に参加するとともに自治寮をまもる活動を行って、大学は留年、
翌年卒業はきまったものの、進路に悩んでいたときに、大学の助手から文学学校を紹介
されたとあります。
「就職先も決まっていなかった私は、藁にもすがる思いでその大阪文学学校の扉をたた
いた。・・
 結局、文学学校は二年間は生徒として過ごし、それ以降は講師として関わることに
なった。文学学校の二年目に大学院にあらためて進学したので、しばらくは大学院と
文学学校と二つの『学校』を往復する生活が続いた。そしてそれいらいいまにいたる
まで、哲学と詩と、古典的な言い方をすれば、二足のワラジが私の常態となった。」
 ダブルスクールというと、最近でありましたら、就職のために有利な公務員試験の
ための学校であったり、国家試験のための学校であったりするのですが、哲学の大学院
と文学学校のダブルスクールというのが、極めてユニークで親近感がわくことでありま
す。