小沢信男著作 47

 小沢信男さんは定期的に「映画芸術」に寄稿していたようであります。昨日に表紙
を掲載した74年刊の302号にも寄稿していますが、この文章は「大東京24時間散歩」
には、収録されていません。
 収録の文章で取り上げている映画作品は、以下のようなものです。
「女生きています・盛り場渡り鳥」 監督 森崎 東
「デルスー・ウザーラ」      監督 黒沢 明
新幹線大爆破」         監督 佐藤純弥
「ブルー・クリスマス」      監督 岡本喜八
「子育てごっこ」         監督 今井 正  
グリニッジビレッジの青春」   監督 ポール・マザースキー
「夕なぎ」            監督 クロード・ソーテ
「ボビー・デアフィールド」    監督 シドニー・ポラック
「望郷」             監督 デュヴィヴィエ  

 当方はあまり映画を見ていないせいもあって、タイトルは知っているものの、
ここにあがっている作品のほとんどを見ておりません。
このなかで、一番興味を抱いたのは「女生きています」でありますが、この作品は
見ていませんが、シリーズとなったものの何本かは見ているように思います。
森崎東さんは、山田洋次の助監督と脚本担当から一本だちした方ですが、山田洋次
さんの作品よりもエネルギーにあふれて、しかも猥雑というかお行儀が悪いように
思います。「女生きています」は、「新宿芸能社」という場末のお座敷ストリップ
へ踊り子さんを派遣する芸能社が舞台となっています。当方の印象に残っている
のは、主人が森繁、おかみが中村メイ子、すこし頭が弱そうな踊り子に緑魔子
いう作品ですが、これの組み合わせは絶品です。森繁の小心で、すけべな中年男の
役柄は、まさに喜劇人森繁の真骨頂で、限りなく文化勲章から遠いものであります。
 新宿が副都心として高層ビルが建築される前のお話ですが、当方の見た映画では、
銭湯の脱衣場を利用して、踊りの稽古をするとこがありましたが、ほかの映画でも
そうでしたろうか。
 ちなみに小沢さんが取り上げているのは、シリーズ4作目で、この作品も主人と
おかみは森繁、メイ子のカップルで、踊り子は川崎あかねさんでありました。
 川崎あかねさんという名前を目にしますと、当方が学生であったころのKBS京都
かのラジオ番組にでていたのを思い出します。若い人に人気の男性アナウンサーに
いじられるという役回りであったように思います。あの男性アナはなんていった
ろうな山崎さんとかいったでしょうか。(検索をかけたら山崎弘士アナとありま
した。たぶん、この人。京都のラジオ放送局が登場する映画「パッチギ!」は、
この人がモデルとおぼしきひとが登場する。)
 ということで、ほとんど小沢さんの映画評には、関係のない話題でありました。