今年も山猫忌4

 76年4月27日の札幌サイン会で当方が持参したものは、次の本となります。

 長谷川四郎さんは、「ロルカ詩集」をみすず書房からだしていますが、ロルカのもの
でも「ジプシー詩集」と「古い物語による三つのロマンセ」をあわせて一冊としたもの
です。刊行は73年12月10日 版元は創樹社でありました。創樹社は竹内逹さんが社長
ですが、編集を担当していたのは玉井五一さんです。(玉井さんは、先日記した元祖
「ぼくの伯父さんの会」の一員です。社長竹内さんについては、齋藤龍鳳さんの
「なにが粋かよ」に登場するのですが、これはまた後日に)
 創樹社から「わがバリエテシリーズ」というのがでていまして、これは新日本文学
の著者による「バラエティブック」のはじまりのようなものですが、本は変型のハード
バーで、これでアートワークが平野甲賀のものでしたら、晶文社も真っ青になる
ようなものです。このシリーズの評価があまり高くないのは、本当に残念です。
 この創樹社版「ジプシー歌集」限定1500部で、本文は2色刷となっています。
当時の定価は2800円、これはそこそこ高いものでした。
 これにサインをもらうのですが、長谷川さんは自らのサインの流儀について、次の
ように記しています。
「私は生まれてから何千何万回となく書いてきた、いちおうの成果として、私の名を
書くことが出来た。当然ながら、われわれは時間と空間において出会うのであって、
買ってくれた人の名と、場所の名と、そして日付を書くことができた。私はこれを
光栄に思う。というのはつまり感謝し、よろこぶ。」(「札幌・函館サイン会」より)
 
 サインの下の部分であります。これの上には当方の名前が漢字で縦にはいっている
のですが、その部分は割愛です。時間と空間と四郎さんの名前と、当方の名前が
入っていて、時間と空間、出会いが実感できるようになっているのでした。
こちらのサインは英字でありますが、もう一冊「鶴」のほうには、氏名を漢字で記し
ていただきました。