今年買った本2

 本日届きました「ちくま」1月号表紙の表裏は、昨年に引き続きで林哲夫さんが
担当しています。裏面の連載エッセイは「ふるほんのほこり」というタイトルです
が、今月は「一記一遊」ということで、「古本ノート」にまつわる話題です。
「 ノートブックに買った本を記録していくのは楽しいし、それによって一冊一冊を
ていねいに観察することもできる。
 購入日、題名、著者、装幀者、発行年月日および版数、版元、定価、古書店名と
古書価、雑誌なら巻号や特集タイトルも記しておく。・・
 入手できてうれしかったタイトルには赤鉛筆で丸をつける。ややうれしかったもの
には赤の点、まあうれしかったものには黒の丸、その下は黒の三角。」
 この文章には赤丸がつくような本は、めったにないとありました。
 購入した本を、このようにノートにつける(またはコンピュータに登録する)という
のは、あんまし苦労しないように見えますが、実際にはとってもたいへんです。
小生は、かってノートに持っている本を記録したことがありますが、大学ノートに
書名と著者名を書くくらいでも一苦労するのでした。
 今は、大学ノートからシステム手帳のバイブルサイズノートに記していますが、
これもつけたりつけなかったりなのでしょう。(重複しているものを買うようになり
ますと、これがどちらであったかわからなくなって、つけることができなくなったり
します。)
 今年は、記録しているものをみますと130冊くらい購入しているのですが、
いきつけのブックオフで購入のもので、赤丸をつけるようなものはあるでしょうか。 
先の林哲夫さんの文章には、「うれしい内容にもグレードがあって、ずっと探していた
ものが一番、調べてみると予想以上に古書価が高かったのが二番、装幀や内容がとくに
気にいったものが三番である。」とありました。
 こういう基準で、一番うれしかったものとなると「虚無への供物」塔晶夫版で
しょうか。69年に「中井英夫作品集」ではじめて読んでから、いつかは元版を
手に出来ればと思いながら、現実の古本屋でもみかけたのは一度しかなく、それは
裸本であったにもかかわらず、とても高価で(70年代はじめ)あった記憶があり
ます。
 最近は「日本の古本屋」を検索すると、とんでもない値段ではありますが、
いつも何冊か販売されているのを見ることができます。
 犬も歩けばでして、本当はリアル古書店の店頭で裸本であっても「虚無への供物」
塔晶夫版を見つけることができれば、大赤丸をつけるのですが、ネット「日本の
古本屋」の店頭ではありましたが、裸本で、すこし焼けていたものの、べらぼうに
安い価格であったことですから、ことし一番うれしかった本には、胸をはって
「虚無への供物」をあげることにいたしましょう。