湯川書房のこと4 

 湯川成一さんと湯川書房については、「仙台が親戚」様から貴重なコメントを
連日、いただいております。小生のほうは、情報がすくないので、あと数回も
ブログを記しましたら、湯川についての材料は切れてしまうのですが、そうなると
湯川ファンの方が、楽しみにしている「仙台が親戚」さまの書き込みをみることが
できなくなってしまうのでしょうか。
 昨日の塚本邦雄さんの文章に関して、「仙台は親戚」様は、塚本さん本を製作する
にプロデューサー役をになった政田岑生さんの存在についてふれていますが、小生が
引用した「銀花」14号の塚本邦雄さんの文章にも、著者にかわってひどく厳しい
注文をだす政田さんのことがかかれています。昨日に引き続きで、塚本邦雄さんの
「稀書陸離たん」という文章からの引用です。

「 政田岑生は突然私の前に現れ夢の実現を約してくれた。夢とは数千首に垂んとする
 私の短歌作品から作者溺愛の百首を選び頁毎に一首を置き、一首一首に作品の世界
 を暗示する図版、絵画、写真を極彩印刷で飾るという贅沢の極みであった。この
 夢は彼の存念でもありかつ湯川書房の庶幾するところであり、企画はただちに実行
 段階に入った。完成に半年をけみした。かかる本にしては最短印刷といえよう。
 第一湯川書房ビブリオグラフィーにも例のない正字印刷であり、政田岑生の校正は
 著者自身が慰撫譲歩を申し出るくらい厳格を極めた。・・活字の無きものはすべて
 別注、印刷所もほとほと呆れ返っていた様子である。」

 湯川書房からでた塚本邦雄さんの限定本は、どれもこの政田さんが編集に関わった
もののようですが、限定本は、もともとコスト無視で企画が進みますから、徹底的に
校正をしたりするのです。
 それにしても、著者自身がまあまあと助け船をだしたくなるくらいに厳しい注文を
受ける印刷会社は、なんでそこまでやるかと迷惑がっていたのでありましょう。