- 作者: 和田誠
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2006/12/01
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 3回
- この商品を含むブログ (11件) を見る
和田誠さんは、もちろん本業はデザイナーということになるので
すが、文章を書いても一流ですし、多芸多才の代表的な一人であり
ます。和田誠さんで不思議なのは、あの物静かな雰囲気の和田さんの
奥様が、あのレミさんであることで、またご子息がロックバンドの
リーダーさんであることでしょうか。
和田さんには、「お楽しみはこれからだ」という映画のワンシーンを
切り取ったシリーズがありますが、これもずいぶんと続いています。
本のデザイナーとしては、書籍の本体に無粋なバーコードを印刷する
ことには断固反対し、そのために和田さんが装幀を担当した本には、
必ずバーコード用の帯がついているのでありました。このような
こだわりのデザイナーがいなくては、どんどんと装幀が美しくなくなると
思うのでした。
こどものころから、似顔絵を描くのが得意であったようですが、高校の
ころには、ほとんど玄人の域にたっしていたようです。
「 毎日学校に真面目に行くんだけど、授業中は先生の顔を描いている。
先生の顔に飽きると同級生を描く。先生は時間ごとに違う人がくるし、
クラスは50人ほどいますから、モデルにこと欠きません。それで
ついでに先生の顔による時間割ができた。時刻表が完成したとき、
ぼくは高校二年になっておりました。
時間割ができたということは、すべての先生が描けたということです。
自分だけが満足するのではなくて、クラスの誰に見せても、どの先生を
描いたかわかってもらわないといけない。わかってもらえたんですね。
一人のクラスメイトはぼくのその絵をもって帰って複写して何十枚か
紙焼きをして、クラス中に配ってくれた。みんなそれを定期入れに
入れたんです。これは嬉しかった。クラス公認ということですから。」
この「似顔絵物語」には、その似顔絵による時間割が掲載されていますが、
この高校教師の似顔絵をみていると、これらの教師がどのような性格か、
どの教科を担当しているのかがわかりそうな気分になるのでした。