京都の本屋

 今回は、別に主たる目的がありましたので、古本や歩きはまったく
できませんでした。宿から歩いて駅にむかったりするとき、「京阪書房」
などの前を通ったのですが、残念ながら敷居をまたぐことができません
でした。きちんとした古本やに足が向かなくなっているのは、やはり
ネット古書店で探す生活に慣れてしまって、足をつかって探すという
ことをしなくなってしまったからでしょうか。
 たった30年ほど前であっても、古書を探していますという広告を
古書通信にだすか、手当たり次第に在庫していそうな古書店にはがきを
だすかしか、方法はなかったですからね。
 河原町から寺町にかけては、古本やさんがずいぶんとたくさんあった
のですが、小生にはほとんど縁のなかった専門書を扱っているところと、
あまり店構えの立派でなかったところが、なんとか生き残っていて、
文学書をそろえていたようなところは、何軒も姿を消しているように
思います。
 新刊書については、もっとひどくて丸善を筆頭に、京都書院、オーム社
駸々堂とかっての大型書店は全滅でありました。このように書店の
栄枯盛衰を見ておりますと、いまのようにジュンク堂しか残らなくなり
そうな状況というのは、そうとうに困ったことになるぞと感じてしまう
のでした。
 京都のような街でこそ、個性的な書店が生き残ってほしいと思います。
 本日に京都を離れたのですが、荷物がたくさんあったので、宿から
タクシーで京都駅にむかったとき、宿の敷地をでて、小路にはいった
ところの正面の建物に、小さく「湯川書房」のプレートがありました。
以前、小生のブログで限定本の版元「湯川」にふれたとき、京都でいまも
活動を続けていますとご教示いただいたのですが、その伝説の版元が、
小生が泊まっていた宿のすぐ近くにあったとは知りませんでした。
まさに、灯台もと暗しでありまして、次回に訪れることがありましたら、
ここの看板を写真におさめましょうと誓ったのであります。