2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧

小沢信男著作 169

小沢信男さん「あの人と歩く東京」あとがきの続きです。 「同行二人の文学散歩が、本書を貫く方法」と昨日に記したところにはありましたが、 表にでてくるのは、荷風をはじめとする作家たちですが、裏に隠れているのは、小沢 さんの御父上ですね。 「ちなみ…

小沢信男著作 168

小沢信男さん「あの人と歩く東京」あとがきからです。 「同行二人の文学散歩が、本書を貫く方法なのだとお察しください。 こうして歩いてみると、架空の同行がかなり実感的でなくもなくて、生死の境は厳然 ながら、曖昧なような気も同時にします。人は死んで…

小沢信男著作 167

本を手にすると、すぐに「あとがき」に目がいくようでありますが、その前に「目次」 であります。 小沢信男さんの「あの人と歩く東京」は、次のようになっています。 プロローグ・荷風東へゆく 「ちくま日本文学全集 永井荷風」解説 92・5 東京遍路帖・同行…

小沢信男著作 166 あの人と歩く東京

ということで、小沢信男さんの「あの人と歩く東京」であります。 1993年5月20日刊行 装幀者 菊地信義 担当編集者 松田哲夫 長嶋美穂子 筑摩書房 発行者 関根栄郷 定価1900円(本体1845円) まずは、帯の文章を記してみることにいたしましょう。 「 荷風さま…

小沢信男著作 165

本日から小沢信男さんの「あの人と歩く東京」を話題にと思っておりましたが、その 前に、最近の小沢信男さん関連話題です。 小沢さんの著作を取り上げはじめたのは、3月の「本の立ち話」からでありますが、 それからこれまでの間に「SURE」から「小沢信…

小沢信男著作 164

高田行庸さんの写真に、小沢信男さんの文章を添えた「東京下町親子二代」でずい ぶん楽しみました。なによりも写真家 高田さんの叔父さんにあたる高田浪吉さん のことから島木赤彦全集に手が伸びたのが、思わぬ収穫でありました。 小沢さんは、この本で学校…

小沢信男著作 163

高田行庸さんの「東京下町親子二代」には、写真家高田さんの自宅の半径300mに お住まいの父子三十組を取り上げています。 この三十組のなかに関東大震災と東京大空襲をともに罹災した家はどのくらいある だろうかと思ってチェックをしてみました。大正12年…

小沢信男著作 162

小沢信男さんの文章「本所 あの道 この道」によって、写真家 高田行庸さんの 実家の足跡をたどっています。高田家は、本所で家業の「下駄塗装業」を営んでいるの ですが、関東大震災、東京大空襲で罹災して、家業の継続が難しくなるのでした。 それでも関東…

小沢信男著作 161

高田浪吉さんに話題が戻りまして、昨日はあれこれと勢いで打ち込んでいたのであり ますが、終わりまして保存するをおしたつもりが、なにをどうしたのでありましょう。 打ち込んだ文字が一瞬にして消えてしまいました。さすがにうちなおす気分にはならず、 小…

小沢信男著作 160

小沢信男さんの文中に引用されている高田浪吉さんの震災関連の短歌を記すことに いたします。 人々のせむすべ知らに渡りゆく橋の上より火は燃ゆるなり 母うへよ火なかにありて病める娘をいたはりかねてともに死にけむ 人ごゑも絶えはてにけり家焼くる炎のな…

小沢信男著作 159

松倉米吉さんの作品については、EDI叢書に収録されているもので、目にすることが できました。米吉さんの作品を世に知らしめることを使命とした高田浪吉さんは、その 後、専門歌人となるのですが、残念なことに、小沢さんが「本所 あの道 この道」に 引用し…

小沢信男著作 158

写真家 高田行庸さんの「東京下町親子二代」という写真集と、それに寄せた小沢 信男さんの文章を話題にしています。 ここ数日にわたり松倉米吉さんに言及しているのは、この早世した歌人が今に名前が 残るのに、尽力された歌人 高田浪吉さんが、写真家 高田…

小沢信男著作 157

昨日は、若くしてなくなった歌人 松倉米吉さんの年譜を転記しましたが、小沢さん にとって松倉さんは、父親の世代であり、当方にとっては祖父の世代であります。 この年譜を見ていますと、いろいろなことを感じることであります。 小沢さんは「小学校をでれ…

小沢信男著作 156

いまはなきEDI叢書の一冊として刊行された小沢信男編「松倉米吉・冨田木歩・鶴彬」 から、「松倉米吉」にかかわるところを引用しています。 これは全部で130ページくらいの冊子ですが、三人の作品、年譜、関連地図、著作目録、 参考文献目録、そして作家案内…

小沢信男著作 155

小沢信男さんが「写真集 東京下町親子二代」に寄せた「本所 あの道 この道」と いう文章から話題をいただいております。小沢さんが、この本で取り上げた高田浪吉と 松倉米吉の友情に触発され、その関係を調査した成果は、この本からちょうど10年 たった2002…

小沢信男著作 154

昨日に引用した小沢信男さんの文章に「大正の青春」という言葉がありました。 ともに「アララギ」によって歌作に励んだ松倉米吉と高田浪吉の友情であります。 松倉米吉について、小沢さんは次のように紹介しています。 「その年(伊藤左千夫が亡くなった1913…

小沢信男著作 153

高田家の有名人についてであります。小沢さんによる紹介です。 「 高田浪吉は、本所区馬場町(現在の本所1丁目)の下駄塗り師の長男に生まれた。 小学校卒業後、家業に従ううちに、三歳年上の松倉米吉と相知り、短歌を詠みだす。 大正五年、十八歳で『アララ…

小沢信男著作 152

小沢信男さんの文章に従って、本所にいろいろな事業がおこってきたことを記して きました。そのなかのあるものは、後世に大きな事業体となって世界的にも有名と なるのですが、ほとんどは家族規模でのものであり、そうした家族(父と息子)の 仕事風景を取り…

小沢信男著作 151

本日も、小沢信男さんの「本所 あの町 この道」という文章から話題をいただき です。 「江戸は東京と改まる。明治十一年(1878)十五区制が発足する。現在の山手線の内側 と隅田川両岸だけの東京市である。・・隅田川東岸は本所・深川の二区だけ。それも 横…

小沢信男著作 150

昨日に引用した坪内祐三さんの文章には、「本当の両国について私に教えてくれたの は、昭和二年に新橋で生まれた小沢信男さん」とあります。坪内さんの「東京人」編集者 時代に小沢信男さんと交流があって、その頃に、そうしたやりとりがあったのでしょう か…

小沢信男著作 149

小沢信男さんの「本所 あの町 この道」という文章を、話題にしていますが、 本所とか、両国という地というと、小林信彦さんも書いていたよなと思ってましたら、 筑摩書房からでている「ちくま」に連載の小林信彦さん「わたしの、東京物語」の 23回(2011年5…

小沢信男著作 148

小沢さんによる本所についての続きです。 「徳川二百五十年の泰平と一口にいうけれど、元来は軍事都市なのだった。内堀外堀を めぐらし、寛永寺・増上寺は北と南の出丸の砦であり、下町なんぞは一朝有事とあらば 焼きはらう薪のようなもの。道筋は折れまがり…

小沢信男著作 147

小沢さんによる本所についての続きです。 「 この三角地帯を増殖して無限におしひろげ、そこへ煙突を林立させれば、戦前の本所 の姿になるだろうか。・・ さて、そうした戦前の本所を復活させたとして、それは大正12年(1913年)9月1日 の関東大震災で灰燼…

小沢信男著作 146

高田さんの写真集は、高田さんの写真館(自宅)から半径300メートルほどに住む 家族を取り上げたものです。 本所が、どのような成り立ちの町であるかについては、小沢信男さんの文章を読んで くださいとあります。小沢さんは、どのように書いているのでし…

小沢信男著作 145

「東京下町親子二代」という写真集を話題にしています。 写真家の高田行庸さんは、ずっと「本所」にお住まいの方のようです。 かっては「本所区」といわれたのですが、昭和22年に向島区と合わさって墨田区に なり現在にいたっています。浅草から隅田川をわた…

小沢信男著作 144  東京下町親子二代

高田行庸さんという写真家の作品に、小沢信男さんの文章を添えたのが、次の著作 です。 写真集「東京下町親子二代 本所」 写真 高田行庸 文 小沢信男 発行 童牛社 定価 3090円 1992年4月15日初版第一刷刊行 AD 松本八郎 / デザイン・藤城雅彦 エディトリアル…

小沢信男著作 143

小沢信男さんの「東京の池」に戻って、「将軍池と加藤山」にある将軍死亡のくだり であります。 「 昭和十二年(1937)二月、象徴は松沢病院内で死ぬ。享年八十七歳、死因は癌。 当時私は小学生であったが、蘆腹将軍といえば日本中の子供たちでさえ知ってい…

小沢信男著作 142

小沢信男さんの文章に引用されている芦原将軍がなくなった時の新聞記事です。 将軍に関する「読売新聞の夕刊」の見出しからです。 「 芦原将軍病篤し 悲嘆にくれる後輩共」、これは昭和十二(1937)年一月十六日 のものだそうです。亡くなったのは、これから…

小沢信男著作 141

「新潮45」の94年5月号に掲載された小沢信男さんの文章は、副題として 「『芦原将軍』の明治・大正・昭和」とあります。すこしこれに寄り道をすることに いたします。この時代の「新潮45」に何本か寄稿しているのですが、ほかのものは、 すぐにでてきま…

小沢信男著作 140

小沢信男さんの詩の師匠である丸山薫さんの作品に登場する日比谷公園の池について 話題としましたが、「東京の池」に取り上げられた、小沢さんの先輩の思い出につな がる池についてです。 小沢さんの文章からの引用です。 「ほぼ円形の無造作な池である。池…