2009-09-01から1ヶ月間の記事一覧

書肆ユリイカの本 

大岡信さんの初期著作の版元としての晶文社について記していましたら、何度か 「書肆ユリイカ」のことがでてきました。大岡信と同世代の詩人にとって「書肆 ユリイカ」は、初めての詩集をだした版元であるのでした。 「書肆ユリイカの本」というのは、最近で…

晶文社図書目録10

70年の晶文社図書目録をみましたら、あちこちに「抒情」という言葉を含む 書名がのっています。 昨日まで話題にしていた大岡信さんには「抒情の批判」61年に続いて、 65年には「超現実と抒情」という著作があります。 同じ65年には長田弘さんの「抒情の変革…

晶文社図書目録9

晶文社の処女出版の一冊となる「抒情の批判」大岡信著を入手いたしました。 いまから40年ほども前に、京都の古本屋で手にした記憶があったのですが、記憶に 残っている本とは違いましたので、あの時手にした本は、なんでありましたでしょう。 晶文社が始まっ…

最近の新聞から3

「小公子」若松賤子訳の岩波文庫には、若松賤子さんのご主人である厳本善治さんに よる後序があります。 26歳で厳本善治さんと結婚するのですが、厳本さんのあとがきには、結婚した時には すでに「肺を患ひ、少しく喀血などしましたから」とありますので、当…

最近の新聞から2

若松賤子さんは、江戸時代末期のお生まれです。 ( 元治元年3月1日(1864年4月6日) - 明治29年(1896年)2月10日) 当方の曾祖母にあたる年齢です。(当方の祖母は明治27年生まれですから。) ウィキペディアにも、ちゃんと取り上げられていて、ほっといた…

最近の新聞から

9月18日 朝日新聞の声の欄をみておりましたら、次のような投書が掲載 されておりました。投書されたのは、藤沢市に居住する男性、74歳。 「 著名人の墓『無縁仏』化 残念 先日、巣鴨の都立染井霊園にでかけた。いつものように歩いていると、 岡倉天心の墓の…

晶文社図書目録8

晶文社 「植草甚一スクラップ・ブック」は全四十一巻と なります。植草甚一さんこそ「ワンダーランド」を通じて、 晶文社のイメージをかえた人であり、その記念碑的な出版物 が、この「スクラップ・ブック」となります。 この「スクラップ・ブック」の内容見…

晶文社図書目録7

晶文社サブカルチュア路線の代表といえば、なんといっても 植草甚一さんということになるでしょう。植草さんの本を、最初に 刊行したのは晶文社であって70年の図書目録には、最初の本 「ジャズの前衛と黒人たち」が掲載されています。この本の目録での 紹介…

晶文社図書目録6

写真は、小野二郎著作集の内容見本です。 第一回発売というのが86年3月になっていますので、この何ヶ月か前にできた見本でありましょう。 第1巻 ウィリアム・モリス研究 86年3月20日予定 第 2巻 書物の宇宙 86年5月20日予定 第 3巻 ユートピアの構想 86年7…

晶文社図書目録5

晶文社の代表であった中村勝哉さんは、「中学以来、小説ばかり読んできたくらい だから、もともと文学にかかわる仕事につきたかった。小野という編集者としての 非凡な才能と出会うとともに、音楽会と模擬試験という投機的事業に成功したこの ころ、文学+博…

晶文社図書目録4

晶文社の創業は昭和36年4月となりますが、そのときの挨拶文が小野二郎さんの 追悼文集「大きな顔」に掲載されています。 「 私どもは、このたび晶文社という名のささやかな書肆を開きました。俗にいう 山椒は小粒でもピリリと辛いの意気です。 もっとも尖端…

晶文社図書目録3

晶文社の古い図書目録(70年5月)の冒頭には、全集、著作集が掲載されている のでありますが、この時点で刊行となっているのは、次のものでした。 ・ 島尾敏雄作品集 全五巻(61年〜67年) ・ 長谷川四郎作品集 全四巻(66年〜69年) ・ ポール・ニザン著…

湯川書房・湯川成一の肖像3

湯川さんのお仲間が刊行される「湯川書房・湯川成一の肖像」の限定 60部は予定の部数が予約で埋まったとのお知らせがありました。 拙ブログでご紹介させていただいて、それをご覧になってお申し込み いただいた方もいらしたとあって、すこしでもお役にたてて…

晶文社図書目録2

本日の写真は、晶文社図書目録がA5サイズになってからの ものです。 毎年表紙の色と発行年を変えていますが、手元には10年分くらい ありました。61年から出版を開始した晶文社の最初の目録が 何年で、いつからA5サイズとなったものであるのか、まるで わかっ…

晶文社図書目録 

晶文社が文芸部門を閉鎖するということで、あちこちのブログで話題になっています。当方のように40年以上も、この出版社のファンであったものとすればさびしくないことはないのですが、もうだいぶん前から縁遠くなっていましたね。 そもそも津野海太郎さん…

湯川書房・湯川成一の肖像2

「湯川書房・湯川成一の肖像」は、本年3月に刊行された「湯川書房・湯川成一の仕事」と対になるものであるようです。部数が60というの同じですが、版がA5であることやフランス装となっているとこ、そして55ページということですから、ずいぶんとあつく…

湯川書房・湯川成一の肖像

先日に、「仙台が親戚」様に書き込みをいただいたときに、「今度、湯川成一と一番古いファンであり、友人だった伊東康雄氏が『湯川書房・湯川成一の肖像』という追悼文集を出されます。」とありました。 本日、この発刊案内のはがきを送っていただきましたの…

復路は東京の本

昨日からの大阪行きですが、往路は織田作之助の岩波文庫を手にしていたと記しましたが、復路に手にしたいましたのは東京についての本でありました。今回の旅行は日程が厳しくて書店にたちよることもできなかったのでありますが、なんとか梅田で見つけたブッ…

旅のとも

旅にでています。移動中に何を読もうかと、昨日に本屋に寄ってみました。元々の目当ては、ベストオブマイラストソング 久世光彦さんでありましたが、岩波文庫の新刊をみましたら、織田作之助のものがありました。今回の旅先は大阪ですから、これ以上ぴったり…

学問の春 10

山口昌男さんの平凡社新書「学問の春」には目次に続いて「東南アジア南東部 地図」が掲載されています。スマトラ島からニューギニア島にいたる地図ですが、 この本のなかで話題となるのは、インドネシアの島々です。 山口さんが最初にフィールドにはいったの…

学問の春 9

山口昌男さんの「学問の春」は、比較文化の講義録でありますがテキストとして 使用しているのはヨハン・ホイジンガの「ホモ・ルーデンス」中公文庫版であります。ホモ・ルーデンス (中公文庫)作者: ホイジンガ,高橋英夫出版社/メーカー: 中央公論新社発売日:…

学問の春 8

あいかわらずで平凡社新書「学問の春」を手にしているのですが、講義の中身に ついてはふれず、その周囲をうろうろとめぐっています。 この新書の編集後記にもありますように山口昌男さんは、現在、闘病生活をお くっているようです。この本は山口さんと編集…

学問の春 7

山口昌男さんの「学問の春」を手にしているのですが、目にしているのは石塚純一 さんによる編集後記であったり、浅野卓夫さんによる「講義ノート」であったりで、 いつになったら講義そのものに目がいくのでありましょうか。 この講義録が、このようにして刊…

学問の春 6

山口昌男さんの「学問の春」平凡社新書です。山口昌男さんのもので平凡社からの ものはというと、なんといっても「未開と文明」であります。これは編著であるの ですが、なんとなく山口昌男さんの代表的な一冊のように思えます。ほとんど著書の ない山口さん…

学問の春 5

山口昌男さんのキーワードのひとつに「ノマド」というのがあります。 昨日までが知の迷宮であるとすれば、本日からは「ノマド」となります。 山口昌男さんの「独断的大学論」の第3章は、「大学は再生できるか」というもので ありまして、それにはサブタイト…

学問の春 4

本日も山口昌男さんの「独断的大学論」から話題をいただきです。独断的大学論―面白くなければ大学ではない!作者: 山口昌男出版社/メーカー: ジーオー企画出版発売日: 2000/11メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 3回この商品を含むブログ (5件) を見る 札幌…

学問の春 3

山口昌男さんは、もともとが道化役(アカディミックフール)というのが 売りでありますので、こういう方を学長にするということじたいが、経営側の 誤りであるのかもしれません。山口さんは、ポストに執着するわけではないの ですから、どこまでいっても我が…

学問の春 2

山口昌男さんの「独断的大学論」は、札幌大学の学長として「21世紀の知を 育てた」記録であります。残念ながら、試みはすぐに空中分解してしまうのですが、 商売としての大学ということからは、合格点がつかなかった山口学長の大学運営 ではありますが、「…

学問の春

本日はすこし気分がめいることがありましたので、昨日とは話題をかえて 最近入手した本のことであります。新書479学問の春 (平凡社新書)作者: 山口昌男出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2009/08/11メディア: 新書購入: 4人 クリック: 53回この商品を含むブロ…

偏愛作家ベスト4

「本の特集」の「偏愛作家ベスト」には、209人の作家がリストアップされています。 上位三人は、昨日にちらっとふれましたが、下位にあるのは、次の人々であります。 205位 スタンダール 山田詠美 中島らも 208位 織田作之助 横溝正史 「スタンダー…