2009-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ストリートワイズ2

講談社文庫にはいった坪内祐三さんの「ストリートワイズ」を手にして、まず 文庫版のあとがきをみていたのですが、昨日に記した「ノーサイド」の特集に ついては、「ストリートワイズ」元版のあとがきでとりあげられていましたです。 本文は、読んでいなくて…

ストリートワイズ

デビュー作には、その人のもっているすべてが込められているといわれます。 坪内祐三さんのデビュー論集である「ストリートワイズ」が文庫となりました。 これまでも、新潮文庫に「靖国」とか雑誌についてのものがはいっていましたが、 坪内祐三さんの多面性…

対論 異色昭和史 3

鶴見俊輔さんと上坂冬子さんという異色の組み合わせからなる対談ですが、これで みるまで上坂冬子さんが「思想の科学」でデビューしたなんてことを知りませんした。 鶴見俊輔さんは、日本のエリートを育成するシステムとそれに価値を認める母親に 反発して、…

対論 異色昭和史2

「対論 異色昭和史」には、60年安保反対闘争当時の写真が収録されています。 このときには、「声なき声の会」というのが結成されたのですが、その写真には 代表をつとめた小林トミさん、鶴見俊輔さんと一緒に上坂冬子さんも写っています。 上坂さんが「声…

対論 異色昭和史

数日前に評論家 上坂冬子さんが亡くなりましたが、ほぼ同じころにPHP新書から 鶴見俊輔さんと上坂さんの対談集がでたという新聞広告を見ました。その広告を見た 時に、はじめて上坂さんという方が、「思想の科学」でデビューしたことを知った のであります。…

湯川書房 湯川成一の仕事8

「仙台が親戚」様に、書き込みをいただきましたが、詩人 時里二郎さんのブログ 「森のことば 言葉の森」に「湯川書房 湯川成一の仕事」が紹介されています。 ( http://loggia52.exblog.jp/9641131 ) こちらのブログでは冊子の写真が大きくのっていますので…

世界文学「食」紀行2

篠田一士さんの命日にあわせた話題を展開しようと思っていたのですが、命日を 10日も間違えておりまして、つくづく記憶がいけなくなっていると思うことです、 そんなこんなで、最近に講談社文芸文庫にはいりました「世界文学『食』紀行」を 話題にしていま…

世界文学「食」紀行

「世界文学『食』紀行」は、講談社文芸文庫からでた篠田一士さんの著作であり ますが、これは、もとは「朝日新聞社刊行の「週刊朝日百科」「世界の食べもの」 (80年12月から83年8月)に140回にわたって書きつづけた、私註つきの 口腹詩文のアンソ…

本日も遠忌

昨日まで、長谷川四郎さんの遠忌について記していましたが、そうする うちに、本日は、小生が恩義を感じている「篠田一士」さんの命日でありました。 長谷川四郎さんが亡くなったときは、葬儀に出席をすることができたのですが、 篠田一士さんが亡くなったと…

山猫忌 3

「新日本文学」88年夏号は、「これから長谷川四郎」という特集を組んでいます。 小沢信男さんの編集でありまして、これ以後、長谷川四郎さんについて、これ以上の 特集は組まれたことがないでしょう。 この同じ号には、ひっそりと菅原克己さんの追悼がのっ…

山猫忌 2 

4月19日は、長谷川四郎さんの亡くなった日でありまして、これにちなんだ本を 手にすることにしています。小生のところには、そこそこ長谷川四郎さんの著書や 関係する本があるのですが、これもご多分にもれず積んどく状態であったりするので、 棚卸しのよ…

本日は山猫忌

本日は作家 長谷川四郎さんが亡くなった日でありまして、拙ブログでは、この日を 「山猫忌」としております。すこしは、これに賛同してくださる人がいるはずであり ますが、ことしも、小生一人で長谷川四郎さんの本を手にして追想しておりました。 ちょうど…

湯川書房 湯川成一の仕事7

湯川書房の限定本は高価でありまして、本は好きだが読むことさえできれば、 文庫本でもかまわないという小生には縁遠い世界でありました。 ハードカバーの元版を購入して積んだまま未読となっているうちに、文庫化されて 結局は文庫になってやっと読む事がで…

湯川書房 湯川成一の仕事6

「湯川書房 湯川成一の仕事」の目録を見る楽しさは、「湯川らしさ」を 確認することであることのようです。出版プロデューサーである湯川さんの 好みが反映されている刊本の、著者、装幀、装画などを担当する方の名前を、 筋をたどるようにしてたぐっていく…

湯川書房 湯川成一の仕事5

冊子「湯川書房 湯川成一の仕事」を見ておりましたら、ずいぶんとたくさんの本を 手がけているのに驚きました。昨年に目にすることができた限定本のほかにも私家本、 自費出版としての限定本目録というリストがありまして、ここには、次のようなものが あり…

湯川書房 湯川成一の仕事4

「湯川書房 湯川成一の仕事」というのは、このたび湯川書房ゆかりの人々が、 湯川書房主の業績を後世に残すために制作した冊子であります。 本文26ページからなる冊子は、刊行目録が中心でありますが、次のような内容と なっています。 「1 限定版 刊行目…

湯川書房 湯川成一の仕事3

限定本の版元で終わっていましたら、湯川書房は、いつまでたっても小生には 縁のない存在であったように思います。湯川書房主が、広く流通する本を刊行する ことととなり、そのために「季刊湯川」をだすことになって、やっと小生も湯川の 刊本を入手すること…

湯川書房 湯川成一の仕事2

林哲夫さんが編集する「SPIN」04号の「湯川成一さんに捧ぐ」は、湯川さんが 亡くなったことをきっかけ組まれた特集でありました。 (「SPIN 04号」は、08年9月30日刊 ) その特集には、次のような文章等が掲載されています。 ・ はじめから限定本 湯…

湯川書房 湯川成一の仕事

昨年7月11日に亡くなった湯川書房主 湯川成一さんについては、その後、 林哲夫さんが編集長をつとめる雑誌「SPIN 04」が「湯川成一さんに捧ぐ」という 特集を組まれました。一般には、入手の容易な雑誌ではありませんが、これに よって湯川さんの人となり…

女の夢 男の夢 5

田邊園子さんの「女の夢 男の夢」は、三部構成となっています。 この二部は野間宏さんについて、三部は大庭みな子さんについて書かれたものが、 まとめられているのですが、野間宏さんと大庭さんのおつきあいというのは、どの ようなものであったのかと思わ…

女の夢 男の夢 4

担当する作家から原稿をもらうのは、編集者の一番の仕事になるのですが、 なだめたりすかしたりしながら、作品が簡単に出来上がる訳ではないので、 涙ぐましい努力をして原稿を受け取るのでしょう。その自分を殺した努力が 作家に勘違いを与えることがあるよ…

女の夢 男の夢 3

田邊園子さんが担当した作家で、いちばん付き合いがながかったのは、 野間宏さんで、「青年の環」の連載を再開してから完結するまでの6年余も 一緒でありました。 この作品の完結の時のことを田邊さんは、次のように書いています。 「 1971年1月に『青…

女の夢 男の夢 2

田邊園子さんの「女の夢 男の夢」には、編集者時代にであった個性豊かな 人々が登場します。文学作品との出会いではなく、生身の人間との付き合いで ありますからして、楽しい事ばかりではありません。 大学をでて河出書房の編集者となった田邊さんが配属さ…

女の夢 男の夢

「女の夢 男の夢」というのは、かって河出書房の編集者であった田邊園子さんの 著書のタイトルであります。いまでもそんなに文芸担当の女性編集者は多くなかった はずでありますが、田邊さんが編集者をしていたときには、どのよういう女性編集やが いたので…

埴谷雄高の肖像 5

埴谷雄高さんが女性編集者の書いた本に序文を寄せていて、それが本の帯に引用 されていました。 「 女性編集者の回想のなかで、男性作家の男性性が記録されるのは必ずしもない ことであるまいが、それらの回想として田邊記録は貴重な位置を占めている。・・ …

埴谷雄高の肖像 4

「変人 埴谷雄高の肖像」文春文庫から話題をいただいています。この本で インタビューにこたえている編集者は、おふたりでありますが、未来社 松本 昌次さんに続いては、中央公論社の「宮田毬栄」さんが登場します。 宮田毬栄さんについては「『海』で文芸誌…

埴谷雄高の肖像 3

「変人 埴谷雄高の肖像」には、編集者へのインタビューが2本あります。 一人は未来社の松本昌次さんへのもので、もう一人は中央公論社の宮田毬栄さんへの ものです。 現在、影書房をやっておられる松本昌次さんは、創業者である西谷能雄さんを助けて 今にも…

埴谷雄高の肖像 2

埴谷雄高さんで思い浮かべることというと、むずかしい小説を書いていたこと、 スリムでダンスを趣味としていること、般若というめったにないのが本名で あったことでしょうか。 彼にまつわるエピソードで、「変人」にふさわしいものを聞いていたり、しって …

埴谷雄高の肖像

以前に「奇抜の人」というタイトルで刊行されていた「埴谷雄高」についての インタビュー集が文庫化されました。埴谷雄高の作品「死霊」になじむことは できなくても、この本は楽しんで読む事ができそうです。 この本は、著者が東京大学の立花隆ゼミの一員で…

釣り逃した獲物

一昨日、小生のところに届いた中野書店在庫だよりである「古本倶楽部」は、 「もうちょっとで大正百年、特集」でありました。 ページを開いてからは、ずっと大正年間に刊行された書籍がならんでいました。 小生は、ほとんど大正の本はおいかけておりませんの…