2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧

湯川書房のこと9

連日、「仙台が親戚」様に話題をいただいております。本当にその時代のなかに いる人にしか体験できない貴重なお話ばかりであります。昨日の書き込みでは、以下の ところに、一番反応をしたのでありました。「戸田勝久さんが装幀装画した加藤一雄「無名の南…

湯川書房のこと8

湯川書房の刊行目録は、これから収集を行おうという好事家にとっては羅針盤の ような役割をはたすものですが、いまのところは、「仙台が親戚」様がまとめた ものがあるということがわかっただけで、まずはこれが公開されることを楽しみに することにしましょ…

湯川書房のこと7

湯川書房は限定本で有名になったのでありますが、小生が手にすることができた のは、一般書を刊行するようになってからです。一般書といっても、普通の本よりは こだわっているものでありまして、78年12月に刊行された宇佐見英治さんによる 「辻まことの…

湯川書房のこと6

季刊銀花 14号(73年刊)には、湯川書房社主である湯川成一さんの「私の本作り」と いう文章がのっています。湯川さんは「季刊湯川」を刊行してい時も、編集者のあとがきの ような文章すら掲載していませんので、この銀花のものは、小生が目にすることの…

湯川書房のこと5

限定本をたどっていくとどこに行き着くのかと思いながら、「季刊銀花」14号に ある塚本邦雄さんの湯川本についての文章を読んでおりました。「 私の場合は政田岑生独特の美意識が加わり、従来の湯川本に異彩を添える結果 ともなった。『蒼鬱境』の贅を尽く…

湯川書房のこと4 

湯川成一さんと湯川書房については、「仙台が親戚」様から貴重なコメントを 連日、いただいております。小生のほうは、情報がすくないので、あと数回も ブログを記しましたら、湯川についての材料は切れてしまうのですが、そうなると 湯川ファンの方が、楽し…

湯川書房のこと3

湯川成一さんと湯川書房の本について記しておりますが、当方は湯川さんが 心血を注いだ限定本には、もちろん縁がないのでありました。現物を手にした こともなく、どこかの古本屋のケースの中に展示されていたのを目にしたことが あるのと、あとは雑誌などで…

湯川書房のこと2

湯川書房は、目録も作成されていないということで、ここの版元の活動を まとめて、後世に残そうとしますと、相当に苦労をしそうです。 出版を始めたときは、どこもいつまで続くかがわかりませんので、その日 くらしのようなことになるのですが、仮に出版が安…

九十五歳のウィーン

本日の朝日新聞朝刊には、吉田秀和さんの「音楽展望」が掲載されていました。 一昨日に古い朝日新聞で保存していたものから「音楽展望」のみをとりわけたの ですが、朝日新聞に連載されている文章で、一番の楽しみは、このコラムであり まして、それはもう数…

関西の出版社3

本日の朝日新聞の一面下にある出版広告をみておりましたら、ここに人文書院の ものを発見しました。関西の出版社で、ここはけっこうメジャーなほうかもしれ ません。何よりも、サルトル全集を刊行していて、サルトルを日本語で読みたいと 思ったら、とりあえ…

関西の出版社2 

休みが続いたのを機に、押入にため込んでいた古い新聞の整理を行いました。 読書欄とか吉田秀和さんの「音楽展望」と著名人の訃報記事であります。 昔は、切り抜いてスクラップしていたのですが、近年は、まったくできて いなくて、ページごと切り取って、た…

関西の出版社

戦前までは大阪にも、けっこう出版社はあったと思うのですが、高度成長期 以降は出版社は、ほとんど東京に集中することになって、大阪にはめぼしい ものがなくなってしまいました。その昔には(たぶん、今もでしょう。)、 創元社というのは、東京と大阪に二…

湯川書房のこと

湯川書房については、どなたかふさわしいかたが、今後記録を残してくださる ことを期待しております。小生が昨年に、ブログで題材としたときには、ネットで 検索をかけても手がかりとなることがすくなくなかったのですが、この度の 湯川成一さんのご逝去をき…

湯川成一さんの死 

今から20年ほど前に、活発な活動を行っていた出版社 湯川書房の オーナーであった「湯川成一」さんがなくなったとのお知らせをいただき ました。 すこし湯川書房に関連する本をひっぱりだしてきて、このブログを 作成するための参考としています。一番、最…

京の祇園祭

神社のお祭りというとカレンダーには関係なしで、何月何日ときまって いるのですが、大きなイベントになっているようなお祭りは、それにあわせて ほかのまちで働いている人たちも帰省して、大盛り上がりをみせるのですが、 それ以外の普通のまちのふつうの神…

回想のイタリア旅行3

「林達夫 回想のイタリア旅行」という新刊を材料にして、林達夫さんの 著作等について記すことにします。林達夫さんの著作は少ないので、平凡社 からでている著作集全6巻を揃えると、ほとんどのものはそろえてしまった ことになります。「たえず書く人」で…

回想のイタリア旅行2

林達夫さんは、ほとんどプライベートなことについて書くことがなかった人です。 もともと生活のために文章を発表したりすることがなかったので、私的な領域に ついてのことは、書く必要もなく、したがって奥様の人となりについても、横浜の 貿易商の娘さんで…

「回想のイタリア旅行」

山田稔さんの「富士さんとわたし」編集工房ノアと同日に届いた「回想の イタリア旅行」でありますが、こちらのほうは、こうした本がでるとのことを 聞いたときに、小生のブログで話題にしたせいもあって、すっかり手にするのが 後回しになってしまいました。…

富士さんとわたし11

「富士さんとわたし」山田稔さん著 編集工房ノア刊の、最後のページに なんとかたどりつきました。あちこちに寄り道がしたくなるところがあって、 その都度、あちこちに紛れている本の引っ張り出してきて、文中で言及されて いる箇所にあたったりしておりま…

公立図書館と本の寄贈

本日の朝日新聞夕刊のトップ記事は「古書寄贈のミスマッチ」という 見出しで、公立図書館が市民から寄贈を募っても、それが図書館の蔵書 充実にはなかなかつながらない実態について書いてありました。 公立図書館は、ほとんど無料貸本屋となっていまして、本…

たえず書く人2

「たえず書く人」といわれる辻邦生さんのすこしでも完全な全集をつくると すると、いったい全体ではどのくらいの巻数が必要になるのかと思ってしまい ます。新潮社からでている全集は、相当に端折った編集ですが、それでも2段組で 平均500頁で、20巻と…

たえず書く人

仕事帰りにブックオフによりましたら河出書房からでていた「辻邦生作品」 全六巻の1のみが105円で棚にありました。中島かほるさんの装幀による この作品集は、72年に刊行されたもので、収録されているのは、「嵯峨野 明月記」までであります。 これか…

子どものモスクワ

本日の仕事帰りに、ひさしぶり書店によりましたら新潮文庫「チェーホフ・ ユーモレスカ」が目にとまりました。岩波文庫に続いて新潮文庫も新刊で このような連鎖はありがたい。新潮文庫には、チェーホフの「手帖」という 文庫本もあったので、勢いでこれも復…

要約すると

朝に起きてから仕事にいくまでの時間に、数分間、個室にすわって本を 手にすることがあるのですが、ここのところページを開いているのは、 サマーセット・モームの「サミング・アップ」です。 すでに1年半も前に購入した物ですが、日々すくないときは1ペー…

星祭に星娘

21才で阪急電車に飛び込んで自死した「久坂葉子」さんについて、 あれこれとあたっていましたら、今から33年も前に22才で自ら死を 選んだ保倉幸恵(やすくら さちえ)さんのことが思い出されました。 小生と同年代には忘れることのできないモデルで役…

富士さんとわたし10

「富士さんとわたし」を読んでいましたら、あちこちに寄り道の誘いがありまして、 まっすぐに進んでいくのが惜しくなります。本日は、久しぶりのお天気のお休みで ありましたので庭の草むしりをしなくてはと、道具をとりに物置にはいったのですが、 そこで、…

富士さんとわたし9

本日の「富士さんとわたし」は、「贋・久坂葉子伝」をめぐってです。 筑摩書房から最初にでたときに、それを26才の山田稔さんが京都新聞に書評を のせたのだそうです。山田稔さんは、大学院を卒業したばかりの時で、商業紙から はじめての依頼原稿であった…

富士さんとわたし8

山田稔さんの処女出版物は「スカトロジア」未来社でありまして、小生が初めて 手にした山田稔さんの本も、これでありました。 「 人間の排泄物に関心をいだいている人はどれくらいいるだろうか。またこの 種の関心は病的な、異常なものだろうか。糞尿に関心…

富士さんとわたし7

富士正晴さんは、年齢50才のときに「これまでの人生の半分以上を同人雑誌と つきあっているわけである。」と書いています。(「VIKING号航海記」 ) これは64年に発表された文章のなかにあるものですが、この年は東京オリンピックが 開催されたことで記…

富士さんとわたし6

「富士さんとわたし」というときの、富士さんは、もちろん富士正晴さんで ありますが、「わたし」というのは、山田稔さんでも、小沢信男さんでも、 ひょっとすると小生でもありなのかもしれません。とはいうものの、小生は富士 正晴さんのお顔を見る機会もな…