2008-04-01から1ヶ月間の記事一覧

思いこみと偏見2

小生が、最初に片岡義男さんとか小林信彦さんのことを知った頃は、まだ純文学と いう言葉が大きな顔をしていた時でありましたので、一番上等なのは純文学の作家で、 その次ぎに純文学と大衆読み物の両方を書く人で、大衆文学だけであればそれよりも 格がおち…

思いこみと偏見

今月の集英社文庫に松浦弥太郎さんの「くちぶえサンドイッチ」というのがはいり ました。小生は、松浦さんが「暮らしの手帖」の編集長になってから、その名前を知る ようになったのですが、前著「本業失格」よりも、今回の本のほうが、松浦さんらしさを 伝え…

岩波講座 哲学

岩波の「図書」5月号が届きました。今月号は、哲学講座がでるとあって それにちなんだ座談会「哲学のいま」と41年3月「図書」創刊のころに掲載 された三木清の「哲学はどう学んでゆくか」という文章がのっています。 その昔は、岩波講座というのはひとつ…

旅する本

昨日夜のNHKTV番組を見ておりましたら、人から人へとリレーのようにわたって、 トトロの折り紙が日本全国を旅するとありました。今では、このトトロ折り紙だけ でも12種類があって、同時に動いているのだそうです。ひとつ間違えると出会いを 求めてのネ…

北海道つながり

森まゆみさんの「その日暮らし」が集英社文庫にはいりました。 この本のオリジナルは、みすず書房でありますから、元はみすずのものが 集英社文庫となったということになります。元はみすずで、そのあとで文庫に なったというものは、どのくらいあるのか知り…

私信 札幌ガイド

本日は飲み会(職場の歓送迎会)がありましたので、帰宅をしたら12時に 近くなっていました。帰りの車で居眠りをしていたせいで、なんとか起きて いることができています。 そんなわけで本日は北海道つながりでお茶をにごします、 本日の「札幌ガイド」」…

北海道にゆかりの

北海道出身の八木義徳さんや千歳市に住んでいた作家 長見義三さんの作品集を 装丁していた田村義也さんは東京の出身でありますが、息子さんが北海道の大学を 卒業されて北海道で就職されたことにより、北海道との縁が深くなったようです。 北海道にゆかりと…

八木義徳全集2

八木義徳さんは、小説をはじめとする単行本を30数冊もだしているのであり ますから、全集というからには、相当の巻数が必要となります。福武書店から でた全集は、全部でたったの8冊でありますからして、選集とかいうのが正しい のでありましょう。まあ響…

八木義徳全集 福武書店

八木義徳全集は90年に刊行開始とありますが、新刊当時の価格は1冊4千円以上で あります。いまとなっては、りっぱな造本で決して高く感じませんが、当時は手がでな かったでしょうね。(もともと八木さんにはあまり関心がありませんでしたので。) 田村義…

北海道の作家

今月のはじめに、このまちにあるブックオフに立ち寄りましたら、八木義徳全集が セットであるのを発見しました。しかも値段は、破格に安いのです。これはどうした ことがと、そのときはちょっと考えたのですが、小生よりももっと、この本を探して いるひとが…

山猫の遺言

長谷川四郎さんが亡くなってから全集の補遺のようなかたちででたのが 「山猫の遺言」であります。一周忌に間に合わせるように作業が進んだと いうのは、昨日にブログに記したとおりですが、刊行の日付は88年4月 19日となっていますが、これがでたのは、…

本日は「山猫忌」

まだまだ、世間的には認知されてはいないのですが、本日は「山猫忌」で あります。「山猫忌」というのは、長谷川四郎さんの命日に、長谷川さんを を追悼する日でありまして、小生が個人的に名付けているものでありますが、 ほとんど話題になっていないのです…

「わが忘れなば」小沢信男

小沢信男さんの著作で入手が容易なのは犯罪者とルポルタージュで、小説集は、 けっこう珍しいものとなっているようです。なかでも一番難しくなっているのは、 第一創作集である「わが忘れなば」晶文社65年刊でしょう。 昨日にあとがきを引用した「東京の人…

小沢信男一代記

「小沢信男一代記」というのは、南陀楼綾繁さんが雑誌「さんぱん」に連載をしている、 小沢信男さんへの聞き書きのタイトルです。「さんぱん」という雑誌は、不思議ななり たちのもので、もとはEDIというデザイン事務所をしていた「松本八郎」さんがやって …

裸の大将一代記 2

小沢信男さんの山下清さんの評伝 「裸の大将一代記」には、興味深い人物が 多数登場しますが、その昔に、山下清という名前を聞いた時に、真っ先の思い だしたのは、「式場隆三郎」さんでありましょう。 なんというか、極めて多方面で活躍をした人でありまし…

裸の大将一代記

小沢信男さんの「裸の大将一代記」がちくま文庫に入って、書店にならんでいます。 元版がでたのは99年となりますから、8年目の錦であります。 元版での表紙は山下清さんの自画像作品でありましたが、文庫は南伸坊さんの 柔らかい肖像画でありまして、考え…

グルメのための文学

篠田一士さんには、「グルメのための文藝読本」という文庫本があります。 もとは、「世界文学『食』紀行」という本でありましたが、朝日文庫にはいる にあたって、改題したものです。この文庫本のカバーには著者の紹介文があり ますが、それには次のようにあ…

読書の楽しみ

本日は、文芸評論家 篠田一士さんが亡くなった日です。89年4月13日が 命日ですから、亡くなって早くも20年になろうとしています。 本日は、また石川啄木の命日でもあるようで、こちらはなくなって97回目になる とかで、函館では啄木忌というのがフ…

「考える人」24号 3

「考える人」24号は、アンケートによる海外の長編小説のベスト100という 特集ですが、このアンケートを依頼するにあたって参考資料としたのが、ノルウェイ 「古今の名作ベスト100」というものでして、これが24号には掲載されています。 ノルウェイ…

「考える人」24号 2

「海外の長編小説ベスト100」というのが特集でありますが、これは129人の かたにアンケートをだして、その結果を集計してベスト1というのを決めたのだそうです。 なるほど、いまの時代にアンケートをするとこのような結果になるのかということで、 旧…

考える人 24号

仕事帰りに本屋によって「考える人」24号を購入しました。 今回の特集は、「海外の長編小説ベスト100」というものです。この雑誌は、 特集の内容をみてから購入を決めるのですが、昨年の4月に「短編小説を読もう」と いう特集の時に購入して以来のこと…

不思議な出版社

非流行の出版企画を出し続けていて、つぶれることもないという不思議な 出版社「こぶし書房」の話であります。 戦前の左翼系の思想家たちの著作は、学生運動が活発であった70年代には まだ新刊としてでていたようですが、最近ではほとんど復刊することもな…

草森紳一さん追悼

草森紳一さんの名前は、むかしから聞いたことがありましたが、小生はなんとなく 縁がなくて、草森さんの著書を購入したのは文春新書「本が崩れる」がはじめてで あったと思います。なんとはなく、不摂生をしているような感じは、この著作からも うかがうこと…

(株)宇野千代とばなな

昨日にテレビで「桜の番組」をみていましたら有名な「薄墨の桜」を取り上げて いました。この桜の木は、たいへんに古いもので、なんとかここまで枯れることも なくに開花時期には、大勢の観光客をあつめているのでした。 この桜の木は、作家の「宇野千代」さ…

パステルナーク詩集

いつも通っている街の本屋にはぜったいに入荷しない本が、どうしたことか、 この街のブックオフにはならんでいて、本日は、単行本が500円という表示が ありましたので、そうした一冊に手が伸びました。( 表示ある棚の単行本は みな500円とおもわせる…

里見とんという筆名2 

里見とんさんのお父さんは明治の官僚で家柄はよく、学習院ではお仲間と雑誌「白樺」の メンバーとなるのですが、子供のときから世の中に役にたつ人物にはなるまいと決めていた ようです。 親からすれば親子の縁をきりたいというような存在でありますが、こう…

里見とんという筆名

変換をかけても容易にでてこない漢字で表記される人名は、ブログでは話題にしにくいと 感じるものです。内田百けんさんも、きちんと表示できないので、ついつい百鬼園と表記して しまいます。里見とんさんは、ペンネームでありますが、ちょっと見たときは、…

國學院の裏の顔2

嵐山光三郎の「口笛の歌が聴こえる」をみていると、こんな学校が、 本当にあったのかいなという感じを受けるのですが、60年代の國學院と いうのは、硬派と軟派が入り交じり、盛り場も近いので、相当に賑やかな 学園であったようです。 「 英介の大学は、か…

國學院の裏の顔

國學院大学というと、折口信夫が長らく教鞭をとって国文学では 定評のあるところです。神道学科というのが、この学校を学校たらし めていることは、いうまでもありません。 表がこうしたどちらかというと、日本の伝統を守って行こうという 流儀であるとした…

旧かなつかいの作家2

このところ、旧かなつかいの作家について記しているのは、武藤康史さんの 「文学鶴亀」の影響によるところが大であります。先日に最初に「文学鶴亀」を 手にした時に、朗読批評ということに注目をしたのですが、あわせて「旧字旧かな」に こだわる作家と、最…