2008-03-01から1ヶ月間の記事一覧

旧かなつかいの作家

小説家で、旧かなつかいをもっぱらにしていて、一番若い人というのは、 だれでありましょうか。旧かなを通すということは、発表の場が限られる ということでありまして、あちらの新聞には新かなつかいで発表し、文芸 雑誌には旧かなで発表するというのでは、…

伊藤道郎という人

今年の「みすず」アンケートをみていて、気になっていたのが新風舎文庫から でていた「伊藤道郎 世界を舞う」 藤田富士男という本でありました。 評者は阿部日奈子さんですが、伊藤道郎さんという人がいたことは、どうして 知ったのでしたろうか。たぶん、林…

本はりんご箱に

本日に届いた岩波書店「図書」4月号をみておりましたら、高橋英夫さんの 「記憶と忘却の本読み」という文章がありました。この文章の中に本とりんご箱と いうことばがでてきます。 「 本などは長いあいだには自然になくなるものであると思えばいいのだろう…

航西日誌 堀田善衛

この「航西日録」には、心残りのことということで、思いがけない エピソードが紹介されていました。 「 心残りのこと。おしのびで日本にきているジョン・レノン君に宗教 音楽についての彼の考え方などを聞きたかったが、これも果たせなかった。 私がビートル…

貨客船の旅2

もともと貨客船の話題にしようと思ったのは、堀田善衛の「航西日誌」 筑摩書房を手にしたからであります。堀田さんは、晩年に近くなって スペインに長期間滞在して、そのときの記録を発表していますが、 スペインにむかうのに船旅を利用しているのでした。こ…

貨客船の旅

海外にでるのに飛行機を使うのが一般的になったのはいつころからでしょうか。 もともとは渡航なんてことばがあったことからもわかるように船を利用するのが 普通であったのでしょう。戦前にフランスに渡った人はもちろんで、大戦後も 留学生などは、船をつか…

丸谷才一全集は実現するか2

ここ数日は、年度末ということもありまして送別会などが続き、やっとこさで ブログを更新しておりまして、出来がよろしくないのが恥ずかしい限りであります。 このブログの日々更新するというのが、恥多いことかなと、すこしアルコールが はいっている頭でも…

丸谷才一全集は実現するか

いつごろからか、個人の作品を収録した文学全集が刊行されなくなり ましたですね。そのむかしであれば、個人の文学全集をだしているという のは、大家のあかしでありましたが、最近は、大家であってもだしていない 人は珍しくなしです。 少数でも熱心な読者…

丸谷才一とマガジンハウス

丸谷才一さんの書評集といえば、「遊び時間」というタイトルで大和書房からシリーズ ででておりました。これは、その後に中公文庫にはいるのですが、そのときに「うなぎと 山芋」なんて名前に改題されたりしています。日本の書評をかえたいというだけあって…

毎日新聞書評欄 裏話

本日に書店に立ち寄りましたら、丸谷才一さんの新刊が眼にとまりました。蝶々は誰からの手紙作者: 丸谷才一出版社/メーカー: マガジンハウス発売日: 2008/03/21メディア: 単行本 クリック: 22回この商品を含むブログ (7件) を見る 新聞の読書欄というので、…

詩の朗読

詩は声をだして読まれるべきものであります。音とリズムを楽しむ ものでしょう。一昨日に取り上げた長谷川四郎さんは、桐朋学園の 演劇科の教授であったからか、積極的にみずからも朗読をのことして いたり、教え子たちが曲をつけて歌にしたりしているのです…

ラジオ「私の本棚」

武藤康史さんの「文学鶴亀」を読んでいて、ここ数日「朗読」のことを話題に しておりました。どちらかというと、詩の朗読をということで、昨日には長谷川 四郎さんの詩の朗読について、予告編のようなところまでたどりついたのですが、 本日に家人と話をして…

「文学鶴亀」より2

武藤康史さんの「文学鶴亀」を斜め読みしているのですが、昨日に続いて、 この本から「朗読ソフト」についての話題を材料とします。 「私の本棚」のことを昨日に記しましたが、いまでもラジオでは朗読の 番組などは、残っていると思います。むかしは、NHKの…

「文学鶴亀」より

武藤康史「文学鶴亀」をぱらぱらとページをめくっていますが、あちこちで 手がとまってしまいます。へえーこのような書き方があったのかと、新しい 発見のようにも思うのでありました。 たとえば、「朗読批評を求めて」という文章であります。近年は、「声に…

週末の収穫

先週末に大きな本屋へといって、最近話題となっている本を入手いたしました。 ともにあちこちのブログでとりあげられているものですが、これらの本をあと 数日、早くに手にしていたら、小生の数日前の記事は、このようになっていな かったなと思うのでありま…

書災のことなど2

昨日に続いて神西清さんの「詩と小説のあひだ」47年9月刊に収録されている 「書災のことなど」から材料をいただきます。 ロシア文学のすぐれた翻訳家である神西清さん(はてなにキーワード登録されて いないのが残念)には、「灰色の眼の女」という小説集…

書災のことなど

昭和22年9月に刊行された「詩と小説のあひだ」は、ロシア文学者 神西清さんの エッセイ集ですが、戦後まもなくの本でありますから、これ以下の紙に印刷をしたら 本にならないのではないかと思うようなもので、よくぞ、60年間もぼろぼろにならずに 本の…

左翼「正統病」の問題

自由の精神作者: 萩原延壽出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2003/09/11メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (5件) を見る 左翼「正統病」の問題という言葉は、萩原延壽さんの「自由の精神」みすず書房の なかにあったものです。 「オーウ…

朝日新聞社が快調です。

このところ、朝日新聞社の出版物が快調なようです。最近あちこちのブログで話題と なっている小西康陽さんの「ぼくは散歩と雑学が好きだった。」も、まさか朝日新聞社 からでるとは思ってもみなかったもの。小西さんの前著が幻冬舎でありまして、そこ そこ評…

ちくま文庫4月新刊

東川端3丁目さんのブログの3月11日をみましたら、気になる文庫ということで、 ちくま4月新刊案内がのっておりました。http://d.hatena.ne.jp/thigasikawabata/ このなかでは小沢信男さんの「裸の大将一代記」を一押しするのでありました。 小沢さんから…

大きなお世話だ2

本日も、昨日に引き続きで「がんばれ金井美恵子さん」でありますが、それこそ 「大きなお世話だ」といわれそうであります。 元気がよくって、毒舌のおばさまが、急に弱気になったら、やっぱり心配であり ますよね。 日本文芸社という出版社が、もうすこし文…

大きなお世話だ

金井美恵子さんといえば10代のときにデビューして、すでに藝歴も40年を こしたところであります。持ち味は、意地の悪いコメントと、小気味いいたんかで ありますが、最近は、すこし眼の調子が悪いとかで弱気というか、舌鋒が鈍って いるように感じます。…

ブックオフの収穫2

先日、ブックオフでの購入した本について記していますが、本日の本は 辻邦生さんの「風塵の街から」であります。辻邦生さん(正しい名前の表記は、 しんにゅうの点がふたつとなるのですが、これは異字でありまして、普通では このような文字は用意されていま…

ブックオフの収穫

昨日のブックオフで購入したものの続きです。ブックオフの百円棚に講談社文芸 文庫がある場合には、ほとんど購入するぞというくらいの気合いでいるのですが、 半額となるとずいぶんと高い感じがして、すこしためらってしまいます。 昨日に半額でえいやっと購…

仕事帰りにブックオフ

本日は、すこし早くに仕事場をでまして帰り道にあるブックオフに寄りました。 ブックオフという店は、本当に書籍のヒエラルキーが崩壊していまして、作者の 五十音で商品がならぶとしたら、ノーベル賞を受賞した日本を代表する作家の作品と この町に住むアマ…

林達夫書簡

林達夫さんは、自分の家族のことをあまり語らないかたでありましたが、奥さんを 通じて和辻哲郎、矢代幸雄さんと姻族であり、弟さんはかっての陸軍の参謀で岩波 新書から本をだしている「林三郎さん」であり、息子さんも京大で中国考古学の学者 さんでありま…

林達夫とイタリア2

小生は、林達夫さんに恩義を感じておりまして、心底からおかげさまでといわなくては いけないのであります。これまでに、このブログで林達夫さんを話題にすることが多いのも、 小生がそれだけ義理堅い(?)ことのあかしであるのかもしれません。 林達夫さん…

林達夫とイタリア

「栗カメの散歩漫歩」(http://d.hatena.ne.jp/kurisu2/20080303)にイタリア書房から 創業50周年記念出版に田之倉稔著『林達夫・回想のイタリア旅行』刊行予定とありました。 林達夫さんが74歳のときにイタリア旅行を決意してそれに同行した田之倉稔さ…

今月のPR誌 

定期で購読をしている出版社のPR誌が、月初めに自宅に相次いで到着します。 すべての出版物は、小生のブロウの材料用でありますが、今月のは、昨日まで 取り上げていた鶴見俊輔さんのものくらいしか、すぐに使えるものはありません。 「ちくま」は、どなた…

記憶の中で育つ 2

岩波「図書」3月号にある鶴見俊輔さんの連載コラムで、鶴見さんは小学校の 同級生である中井英夫さんについて「中井は私の中で年とともに大きくなる偉大な 同級生である。」と記しています。 中井さんが、鶴見さんについて記したものでは「鶴見俊輔著作集」…