2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

小田実追悼

小田実さんがなくなりました。最近は、たまに新刊がでても 購入することはなくなっていましたので、ずいぶんと前から 縁遠くなっていたようです。亡くなって、手近にある著作を 手にしようと見回しているのですが、いつも作業をしている 居間には小田実さん…

「本棚探偵の回想」3

「本棚探偵の回想」のページめくりながら、このブログのねた探しをしています。 次のように書いてあるには、驚くしかありません。 「 僕は本が読みたいワケじゃない。読みたいだけならば一生困らないだけの本を 持っている。違うのだ。買いたいのだ。ただひ…

「本屋探偵の回想」2

推理小説を特にこのんで読むというわけではないので、これが「小説推理」と いう雑誌に連載されていたといっても、その雑誌がどのようなかたちをしていて、 どのような表紙であるのかもしらないのでした。後半におかれているのは、 「ダビンチ」に連載された…

「本棚探偵の回想」

本日の午前に、ふだんあまりいくことのない古本やへといってみました。 ここは、ほとんどくず本屋というかんじでありまして、コミックが中心で書棚の整理も よくないので、あまり期待していなくて、一年に二度も足を運べばじゅうぶんという 感じです。仲間内…

批評のスティルをもとめて

昨日のブログで篠田一士さんは、吉田秀和さんについてずっと昔に取り上げて その文章は筑摩書房からの「作品について」におさめられていますと、自信を もって書いてしまいました。 本日の夜になって、さて、当該文章を確認しようと「作品について」をとり …

袖のボタン 丸谷才一

丸谷才一さんが朝日新聞で連載していた「袖のボタン」は、この3月まで3年ほど 月一回の楽しみでありました。この連載は、やはり夕刊紙などに掲載していたものとは 違っているように思いました。そのむかしであれば、毎月、きちんと切り抜きをして スクラッ…

精神科医のユニークさ

このところ、すこし低調でありまして、話題にことかく日々が続いております。 それなら、すこしはお休みしてもいいではないかと思うのですが、せっかく ここまで続けているのだからと、たいして意味もないことをいって材料探しを するのでありました。 こま…

最強のアマチュア

最強のアマチュアという言葉から、何を連想しますでしょうか。 アマチュアでありながら、プロを相手にばったばたとなぎ倒した将棋の棋士で あったり、キューバのナショナル野球チームであったりでしょうかね。 地方にかかわる歴史とか文化的な行為に関しては…

「妹の力」

「妹の力」というのは、柳田国男の著作のタイトルですが、小生にとって このことばが親しいものとなっているのは、林達夫「歴史の暮れ方」で取り 上げられているからであります。 柳田の「妹の力」は、「郷里で見いだされた兄妹愛の事実、妹の純潔な愛情と …

鉄塔フェチ2

昨日のブックオフでは、銀林みのる「鉄塔武蔵野線」新潮文庫版を入手することができ ました。これは平成9年6月に文庫としてでたものでありますが、この解説を、小生が ひいきにする矢川澄子さんがかいています。「 鉄塔文学の存在が既成事実となってしまっ…

隣町のブックオフ

本日は、午後から野暮用があって隣町へといってきましたが、ついで最近開店した ばかりの「ブックオフ」によってきました。地元のブックオフでは、ほとんど 百円棚ばっかりをあさっているのですが、この店には、はじめてきましたので、 百円の棚に、どのよう…

「鉄塔家族」佐伯一麦

朝日文庫にはいった佐伯一麦さんの「鉄塔家族」を読み継いでいます。日経新聞に 連載された小説で読みやすいこともあって、なんとか、最後までいけそうな感じで あります。もともと小説は長ければ長いほどよろしいということをいっており ましたが、最近は時…

河合隼雄さん追悼

文化庁長官であった河合隼雄さんが亡くなりました。河合さんが、いまの ようにメジャーとなるにあたっては、岩波書店の編集者の力がありました。 この編集者は、のちに社長となる「大塚信一」さんであります。 大塚さんの「理想の出版を求めて」には、河合さ…

日曜日に休む店

本日に手元に届いた「本の雑誌」8月号をみましたら、沢野ひとしさんが 40年前の書店 丸善京都店についての文章を書いていました。 小生が京都に行くようになったのは1970年のことでありますから、この ときには、たしか丸善京都店のたてものは「木造…

フランス装の本

そのむかしに白水社で出版している本にもフランス装 アンカットのものが ありました。もちろん、ページをきっていないのですから、本を読み進める ためには、ペーパーナイフが必要になったのでした。 たしかアナトール・フランス小説全集などは、こうしたア…

岩波文庫全巻蒐集

昨日 NHK BS「ブックレビュー」とかいう番組をみていたら、岡崎武志さんが 出演していて、岩波文庫創刊80年という特集コーナーをやっていました。 この番組では岡崎さんの書庫にもカメラがはいっていて、2万冊とかいって いたコレクションの一部がおさめ…

「幻想美術館」

澁澤龍彦「幻想美術館」というのは、書名ではなくて、本日は美術展示のことです。 どちらの美術館も、展示企画に採算などを求められるようになって、いきおい観客 動員が期待できるようなものが学校の休みなどにあわせて組まれることとなります。 そのむかし…

筑摩書房の再建時代

出版社というのは、ほとんどが中小零細でありますから、経営悪化して倒産と いうことになりましても、ほとんど話題になることもなく、いつの間にか表舞台 から姿を消すのでありました。 会社更生法の手続きをとったり、ほかの企業からの支援を受けて経営再建…

「戦後名編集者列伝」4

「戦後名編集者列伝」の発行元である編書房は、編集者である社長さんが おひとりでやっている出版社です。社長さんは、小生の友人の同級生という ことで、友達の友達ということで、活動を応援しているのでした。 先日来、とりあげている櫻井秀勲さんのものは…

櫻井秀勲という人

櫻井秀勲という編集者あがりの評論家がいることは知りませんでした。 編集者といっても、最後のほうは小生にはなじみの薄い女性週刊誌です し、光文社の社員であったようです。ここで「女性自身」の編集をして いたのですが、会社で大きな労働争議が起こって…

光文社といえば

最近、光文社はハイブラウなイメージになっている記しましたが、新訳をそろえた 翻訳文庫とか、江戸川乱歩全集など、しゃれた装幀とあいまって、すっかり高級文庫と いう感じになっています。 そのむかしの神吉晴夫さんが君臨していた時代のカッパの本のイメ…

「戦後名編集者列伝」

「戦後名編集者列伝」櫻井秀勲 編書房刊 には「売れる本づくりを実践した 鬼才たち」という副題がついています。マイナーな出版物を偏愛する人たちは、 ベストセラーとか、うれる本づくりというだけで、評価しないようなところが ありますが、もちろん売れる…

最終学歴は名門高校

親の期待に応えて、誰にも羨ましがられる難関高校に入学して、そのあと みごとにドロップアウトというのは、70年代の初頭まではけっこうあった 話です。あの時代であれば、高校生でありながら学生運動にはまるというのが 一番多かったでしょうか。そのあと…

鉄塔フェチ

「本の雑誌」7月号をみておりましたら、しばらく新作を出していない作家に アンコールという巻頭特集がありました。この特集のトップでとりあげられて いるのは「銀林みのる」という作家でありました。名前を聞いたことがある ようなないような、その代表作…

「枕頭の書」2福永武彦

福永武彦の「枕頭の書」などは、この時代にもっと読まれてもよろしいのにと 思います。元版は新潮社からでたものでありますから、新潮文庫にはいっても 不思議ではないのですが、新潮文庫は、このようなものを取り上げることがない ようです。そうなると「講…

「枕頭の書」福永武彦

福永武彦さんの小説は、最近読まれているのでしょうか。小生は、福永武彦さんの ものといえば、脇道にそれた推理小説とか、すこしはミステリーの香りがする 「死の島」なんてものを読んだほかは、「玩草亭百花譜」とか、堀辰雄についての エッセイ、そして読…

「言葉と国境」

先日にテレビを見ておりましたら、鼻の下にひげをたくわえた男性が話をして いました。毎日新聞の記者で、このような人がいるのですが、このときに画面に でていたのは、詩人の長田弘さんでありました。ほかの番組でみたいものが あったからか、長田さんの話…

「エスペラント」3田中克彦

「私たちは何か外国語を学んでみようと思いたつとき、どんなふうにかはっきりとは いえないが、その外国語が帯びているイメージにひかれている。ではそのイメージは、 いったい何によってつくられるのだろうか。ことば、そのものというよりは、その ことばが…

「エスペラント」2田中克彦

「フィンランドのアルタイ語学者 ラムステットこそは、私のモンゴル語 研究への若い野心を点火し、そこから私を引き離さなかった導きの星で あった。」 田中克彦さんは以上のように書いています。このアルタイ語学者で あったラムステットさんは、ロシア革命…

「エスペラント」田中克彦

岩波新書の新刊「エスペラント」を購入しました。著者はモンゴル学者の 田中克彦さんであります。田中さんは、言語学者でありますが、丸谷才一さんの 日本語論に対して異議をとなえるなど、気になる存在であります。もともとは モンゴル語を専攻した学者さん…