なんとか週末に

 火曜からのアルバイトは、本日金曜でおしまいとなります。BSTVで放送

しています「こころ旅」の放送と同じ週4日でありますが、70歳を過ぎても

フルタイムで働いている人たちは、仕事をしなくてはいけない理由があるの

でしょうが、本当にえらいことであります。あと何年かしたら、好き嫌いに

かかわらず70歳になるまではフルタイムで働くことが求められるのでしょ

うね。

 そういえば、当方の親の時代には60歳前に仕事をやめてしまって、その

あとはバイトもせずに年金だけで暮らしていた人が、普通にいましたです。

ほんの三十年くらい前のことですが、最近までは65歳くらいには年金が

フルにでて、バイトをしなくてもなんとか暮らせていたものの、このあと30年

ほど先の高齢者たちはどうなっているのでありましょう。

 先日に図書館から借りた「誉の子と戦争」を読んでおりましたら、恩賜財

団 軍人援護会のことがでてきました。

「誉れの子」と戦争-愛国プロパガンダと子どもたち (単行本)

「誉れの子」と戦争-愛国プロパガンダと子どもたち (単行本)

 

  「誉れの子」とはなんであるかですが、これは先の戦争で父親をなくした子

どものことをさします。父親には靖国へと行けば会えるといわれたことから靖国

の遺児とも言われたとのことです。

 今年に亡くなったご近所にお住まいの老婦人(昭和7年生まれ)は、昭和18年

に軍人であった父親を中国戦線で亡くした「誉れの子」であるということが、この

本を読んでわかりました。

 そういえば、老婦人の遺品には恩賜財団 軍人援護会の文箱がありました。

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 恩賜という言葉は、上野動物園とか済生会病院の名前に残っていますが、

恩賜財団 軍人援護会は敗戦後に姿を消しています。軍人援護会が行って

いた戦争未亡人の就業支援などは授産事業として市町村などが引き継ぎ、

それが市町村の社会福祉協議会などのスタートになったとかです。戦後まも

なくは軍人恩給なども廃止されていましたので、誉れの子とはいわれても

生活するのはたいへんでありました。

「可能性の山」か

 昨日の図書館で背表紙のタイトルにひかれて借りたのが、次のもので

ありました。

アンチ整理術

アンチ整理術

 

 整理整頓をすすめる本は多くありますが、「アンチ」というのはうれしい

ではありませんか。建築学科を卒業して、なんとなくマックで設計図面を

作成しているようなイメージがありますが、専門は建築材料のコンクリート

数値解析とのことで、これはまったくデザインの世界ではないですね。

 そもそも自宅の庭にミニ鉄道を敷設しようという工作派ですから、あれ

これとがらくたに囲まれていないはずがなしです。今回の表紙の写真から

してもペンチとかニッパとかいう似たような工具がいっぱい写っていまして、

これを見たら、なんで整理して、もっとすっきりとさせないのかと言いたくな

る人もいるでしょうね。

 本のカバーには、「散らかっても、作業が進めば、それが正解だろう」と

ありますした。ほんと、他の人からみれば散らかっているように見えても、

散らかしている本人は、どこに何があるかわかっているのですよね。

 森さんは、次のように書いています。

「工作室や書斎、ものに溢れて散らかっている様とは、僕にいわせれば

『可能性の山』である。ガラクタもすべて『宝の山』だ。捨てるなんて考えは

これっぽっちも湧かない。」

 当方の机の横に積まれている本やコピーなどははたして「可能性の山」

ということができるのでしょうか。「将来に役立つ可能性」は否定できない

のですがね。

年内は切らさずに

  本日は図書館へといって本の借り替えを行いました。今年も残りが

少なくなりまして、これからの年内は池内紀さんの未読のものを図書館

から借り続けて座右に常備することに決めました。積極的にがつがつと

読むのではなしですが、読んでいない本がたくさんありますので、池内

さんは当方のなかではまだまだ死んではいませんです。

 ということで、本日に借りたのは次のものです。

目玉の体操

目玉の体操

 

  池内さんが「一枚の繪」に連載していた「絵になる風景」というエッセイを

まとめたものとあります。池内さんが写した写真と文章がセットになっていま

す。写真は持参のカメラで撮影とありますが、そのカメラについて池内さんは

次のように書いています。

「背中の小型リュックに、いつも『写ルンです』を入れている。性格には何とい

うのか知らないが簡易カメラである。カメラはふつう小型でも特有の重みが

あるが、これはウソのように軽い。デジカメだとむやみにとるが、こちらは枚数

がかぎられており、おのずと選びとって写す。対象と角度をきちんと選定する

プロセスがないと、映像は生きてこない。

 『写ルンです』は器用な日本人が生み出した発明品のなかでも最良の

一つだろう。」

 池内さんは別のところで、「写ルンです」は極寒の地でも撮影できると書い

ていましたが、最近のものは電池切となりましたら、どうしようもないですもの

ね。

 池内さんが取り上げている場所で、当方がいったところはあるかと思って

ページをめくっていましたら、「胃袋の宣教師」という表題で函館元町の

カール・レイモンさんを取り上げているところがありました。ここはいったことが

ありますよ。

 カール・レイモンブランドのハムは、レイモンさんが亡くなってから大手のハ

ム会社がブランドを譲り受け、レイモンさんのレシピどおりに製造をしていると

いわれています。函館保健所は、早くにレイモンさんのレシピでの加工品つくり

を認めていますので、最近の保存食品としては異例ともいえるほど添加物が

少なくて、普通の売られているハムとは、まるで違ったジャンルのものですね。

 年末年始用にカール・レイモンのビアシンケンを買おうかな。

これは目の毒

 眠っている虫を起こすような文章は、目の毒であります。特に12月はなんと

なく気持ちが大きくなりますから、バイトじいさんは次のような沢野ひとしさん

の文章を読んではいけないのです。「本の雑誌」12月号 438号にあったく

だりです。

本の雑誌438号2019年12月号

本の雑誌438号2019年12月号

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 本の雑誌社
  • 発売日: 2019/11/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

  「最近発売された万年筆はボールペンの影響からかペン先の硬いものが

多く、昔のモンブランのように弾力性のある柔らかさは皆無になってしまった。

 以前古道具屋で何本かの古い万年筆をかったことがあるが、中のインクが

固まって吸入のピストンが動かなくなったりと、無駄な買い物ばかりして懲りて

いた。

 だが銀座一丁目にヴィンテージ万年筆店があり、完全保証付きのアフター

ケアもあるというので、足を向けてみた。」

 万年筆なんて、本当に気に入ったものが一本あればいいのですが、そうだと

どうしても一本だけを酷使しますので、何本かをじゅんぐりと使うことになります

が、これがなかなか同じような二本目がみつからないのですね。

 沢野さんは、「ユーロボックス」というヴィンテージ万年筆店に足を運んてみた

とあります。

「前々から手に入れたかった六十年代のモンブランの72,74とい二桁シリーズ

を何本か手にした。この時代のペン先は軟らかくインクの流れも好みである。

六十年代シリーズの最大の特徴はペンにフードがかかっていることである。

ペン先をそのまま剥き出しにしないのは、軟らかいペンの跳ね返りを抑えるため

に独特な形をしているからだ。二桁シリーズのウィングニブはメンテナンスしや

すい構造で、モンブランの中でもっとも完成度の高いペンとの呼び声が高い。

ペン先がイカの形をしており、通称イカペンと呼ばれている。」

 60年代は田舎の高校生でありましたので、最初の万年筆といえば国産のも

のであって、そのあと中国製とかを使ったりして、モンブランを購入したのは仕

事についてからでありました。

 当時は友人たちとはがきで連絡を取り合っていたので、細字のペン先で小さ

な字ではがきにびっしりと書くことができるペンというのが選考の基準でありま

した。

 外国製は、太い軸のものほど細身のペン先で、小さな字を描くというのは

間抜けな感じがして、これは使えないと思われました。(値段も高いし)

沢野さんの文章を読みましたら、おすすめのイカペンなどを検索してみたりです。

オークションサイトものぞいてみましょうかしらん。

雨のなか買い物に

 昨日からずっと雨降りとなりです。雨のおかげで気温は高いのですが、

そのわりに体感は気温の高さを感じることができずです。雨ですこし風の

ある12度と、晴れて風のない4度とはどちらが暖かく感じるかといえば、

それは晴れた4度でありますね。

 お天気のせいで、お店はすいていたのですが、お歳暮ギフトを送るとこ

ろだけは待合の椅子がほとんど埋まっていました。みなさん律儀なことで

あります。これから年末にかけて荷物が普段よりも格段に増えて、宅配業

者さんにとっても魔の一ヶ月でありますか。

 買い物にいったのを機に、本屋で昨日に話題とした「インディアンとカジ

ノ」(ちくま新書)を購入することになりです。このところ、読んでいるのは、

図書館から借りるか安く確保したものばかりで、新刊で購入したものの

読破率は極めて低いことです。

 数日前までの北海道はIR誘致の関係で、世界で大手の業者(カジノ

経営をしている)さんが支店をだしたり、イベントなどに協賛したりと派手に

動いていました。

 特には、今年2月の札幌雪まつりでは大きな雪像のメインスポンサーと

なって、その雪像はイベントステージも兼ねていましたので、これを目にした

人たちは、これはなんじゃと思ったことと思います。これがIR事業者であり

ました。IR事業に参入するために各社とも相当に資金を投じていましたの

で、これが北海道でIR事業の可能性がなくなりますと、こうしたイベントを

利用した宣伝もなくなるのでありましょうね。イベント関係者は、すこしがっか

りとしているかもですね。

 本日は、この「インディアンとカジノ」から、その広告をだしていた業者さん

のところだけを読んでみることにです。

 「フロリダ一帯は、かってセミノールとミスコスキーの居住地であった。この

地域は1830年代の強制移住政策の対象となり、セミノールを含めた多く

のインディアンがオクラホマ移住を強いられた。しかし一部のセミノールは

武力抵抗の末に移住を逃れ、フロリダ南部に留まりコミュニティを維持して

いた。このフロリダ・セミノール部族は1957年にはついに連邦承認を受け、

正式に保留地における部族自治を獲得した。その保留地に建てられた

箱型のビンゴ場が、全米最初のインディアン・カジノである。」

 なんと、ビンゴ場というのが、インディアンカジノの最初なのですね。

それが現在は、どうなっているかといえばであります。

「2006年、セミノールが9億6500万ドルでハードロック・カフェを買収し

近年そのビジネスを世界的に拡大していることは有名である。」

 そうなのか、ハードロックカフェというのは、こういう背景を持った会社で

あるのか。

(アマゾンとの連携がとれませんので、本日は同じ著者の別の本とリンクを

はることにします。)

カリフォルニア先住民の歴史: 「見えざる民」から「連邦承認部族」へ

カリフォルニア先住民の歴史: 「見えざる民」から「連邦承認部族」へ

 

 

ひと山千円なり

 本日から12月にはいりました。ここ数年はクリスマスには手作り粉もん

ギフトでありまして、そのための準備にはいります。シュトレーンのための

ラムレーズンやピールなどはずいぶん前から仕込んでいるのですが、本日

は今年の紅玉りんごを使ってアップルパイ用のフィリングを作ることになり

です。壮瞥町のりんご農家さんから、B級品のりんごをひと袋千円で購入

しましたので、それの皮むきしてから、カットして煮込みました。

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 ちょっと赤みが足りないかもしれませんが、フィリングは美味しくできたようです。

これからは週末ごとになんらかの作業をすることになります。忙しい12月であります

が、これが楽しいのですね。パン作りとお菓子作りは、趣味と実益を兼ねておすすめ

の時間の使い方です。

 最近、こちらの新聞の一面を飾ったのは北海道知事がIR誘致を今回は断念した

という報道でした。特区とかでカジノ解禁で、全国に三箇所カジノを含むIRを設置す

ることを認めようということになって、全国でいくつかの道府県が名乗りあげの準備

をすすめていました。北海道は準備が整って手あげをしたら有力ではないかといわ

れていたのですが、土壇場で環境アセスに時間がかかることと、議会の多数派の

意見がまとまらなかったことから、今回は見送りするとなったものです。

 当方は、IRが経済成長の救世主とは思えず、それよりもそのプロジェクトがカジノ

に依存するということもあって、反対という立場でありました。富裕層を呼び込んで

IRというけど、この富裕層とはどこの国の人であるのかです。

 そんなふうなことを思っていたら、「ちくま」12月号に「等身大のインディアン」とい

う文章がありました。この文章の書き出しは、次のようになります。

「カジノには否定的なイメージがつきまとう。インディアン(アメリカ先住民)がカジノ

経営にさかんに取り組んでいることは、アメリカの大衆文化などを通じて日本でも

多少は知られているかもしれない。しかしそこに見られるのも、おおむね否定的な

『リッチ・インディアン』の姿である。マイノリティとしての特権を利用して暴利を貪る

存在。あるいは、本来は純粋無垢であるはずなのに資本主義の悪に毒されてしまっ

た人びと。そうしたイメージが、そこにはしばしば反映されている。」

 これの筆者は山田文さんで、ちくま新書からでた「インディアンとカジノ」という本

の紹介であります。

 どうしてインディアンがカジノをするようになったのかですね。山田文さんは、次の

ように記しています。

アメリカは、ヨーロッパ人がインディアンの土地を侵略することによって建国された。

それを正当化するためにアメリカは土地を譲り受けるかわりに各部族を主権国家

して認め、その自治を保護するという『約束』を部族と交わす。・・・

 しかし、社会の周縁に追いやられたインディアン部族の多くは貧困にあえぎ、厳し

い生活を強いられる。

 そこで部族が目をつけたのが、州の法律に縛られない『主権国家』としての自治

権を利用した非課税ビジネスとカジノ経営だった。州はこれに反対するが、州の主権

よりも部族の主権が優先されるとする1987年のカバゾン判決を受けて、多くの部族

がカジノ経営にのりだしていく。」

 なるほど、インディアンとカジノということはそういうことでありますか。北海道の

カジノを含むIR計画についても、このような特区の考え方もあったのかもな。

西向く侍か

 本日で11月も終わりとなります。現在使っている暦というのは、不思議と

いうかよくできているというかであります。なぜ2月は他の月よりも日数が

少ないのかとか、どうして「西向く侍」は小の月となるのかです。今も小学

校では「西向く侍」なんて覚え方をするのかな。もちろん侍というのは士の

ことで、これは十一なんだよね。

 月の終わりには、出版社からPR誌が送られてきます。まずは来月の新刊

チェックを行うことにして、そのあとになかをのぞいていきます。このところの

注目は新潮社「波」の編集後記でありますよ。届いたばかりの「波」12月号

の書き出しは、次のようになります。

「同業者、それも歳下の同業者の素晴らしい仕事を目にするのは、羨望や

発奮が入り混じった感情をおぼえて、いつだって刺激的です。わたしは今、

国書刊行会の編集者樽本周馬さんのことを書こうとしています。」

 この後記は、最初から最後まで樽本さんの仕事を取り上げているのです

が、樽本さんは昨年に「笠原和夫傑作選」という大部の編集し、この過程で

編集後記子に問い合わせがあったのだそうです。それは後記子さんが笠原

さんの「映画はやくざなり」という本を編集したことによるものだそうです。

 そして今年に樽本さんは「映画監督神代辰巳」という凄まじい本を編集し

て、世におくりだし、これを見ての印象が、文章冒頭の言葉となります。

 この後記は、次のようにしめられています。

「『映画監督 神代辰巳』は『映画芸術』誌の追悼号がきっかけになった

由。『映画はやくざなり』も同誌に載った笠原さんの短文が基です。それが

片や五時間の歴史大作、片や一時間半のB級アクションみたいになる。

編集者の資質の違いに呆然としますねえ。」

 まあ歴史大作よりもB級アクションのほうが好きという人がいるといって

おきましょう。

映画監督 神代辰巳

映画監督 神代辰巳

 
笠原和夫傑作選 仁義なき戦い 実録映画篇

笠原和夫傑作選 仁義なき戦い 実録映画篇

 
映画はやくざなり

映画はやくざなり